中国が世界第3位の性能を誇るスーパーコンピュータの開発を計画している。このスーパーコンピュータには、この種のものとしては初めて米国のチップメーカー、Advanced Micro Devices(AMD)のOpteronプロセッサが搭載される。
中国共産党機関紙「人民日報」によると、中国のスーパーコンピュータメーカーのDawning Information IndustryがAMDの協力を得て、Opteronプロセッサを2000基搭載したスーパーコンピュータ「Dawning 4000A」を開発するという。
同記事によると、4000Aは中国で設計されたLinux OSとメインボードチップを搭載した複数のコンピュータで構成されるクラスタで、10TFLOP(1TFLOP=毎秒1兆回の浮動小数点演算を実行)の処理能力の実現を目指している。
世界最速スーパーコンピュータのランク付けを行っている「TOP500」リストによると、トップは日本の「NEC Earth Simulator」で、処理速度は36TFLOP。このコンピュータは、1度の命令で高速かつ大量の演算処理を行うベクトルプロセッサを5120基搭載している。
第2位と第3位は、米Hewlett-Packard(HP)が開発し現在Los Alamos National Laboratoryで使用されている2台の「ASCI Q」。現在は2台が組み合わされ14 TFLOPの1台のコンピュータに統合されている。同システムには8192基のAlphaプロセッサが搭載されている。
4000Aは2004年6月の完成が予定されており、仮にTOP500リストのランキングがこのまま変わらなければ、現在Lawrence Livermore National Laboratoryにある、プロセッサを2304基搭載したLinux NetworX製クラスタに代わり、4000Aが第3位にランクされることになる。現在TOP500リストにランクされているコンピュータの中で、米Intel製チップ搭載機は8TFLOP のこのLinux NetworX製クラスタが最速であり、4000Aがこれより上位にランクされれば、IntelのライバルであるAMDにとっても満足のいく結果となる。
中国にとって、高性能コンピュータ開発競争はまさに国家の威信に関わる問題であり、宇宙探査や遺伝子研究と並び、国家の発展度合を測る上での重要な指針と位置付けている。オープンソースのLinux OSやクラスタリング技術によって、より小型で、かつ単純化されたコンピュータを1つのコンピューティングユニットに集約できるようになったおかげで、以前に比べスーパーコンピュータの開発が遥かに容易になった。
4000Aが発表されたことで、6月末にふとしたことから漏洩したAMDのプレスリリースの内容が注目を集めることになった。このリリースは、AMDと中国が共同で、64ビットのOpteronプロセッサを搭載したスーパーコンピュータを開発するという内容だった。OpteronプロセッサはIntelのItanium 2の競合製品であり、AMDは企業用サーバに使用されることを期待している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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