米Silicon Graphicsは7月14日(米国時間)、同社にとって大きな転換点となるハイエンド向けのビジュアライゼーション用新システムを発表する。この製品で、同社は米ATIから提供されるメインストリームのビデオ技術を用いることになる。
SGIのビジュアルシステムのマーケティング・ディレクター、Shawn Underwoodによると、新製品のOnyx4 UltimateVisionは、これまで同社が数年間用いてきたSGI独自設計のグラフィックシステムの代わりに、ATIのワークステーション・ビデオカードを搭載したという。価格は4万5000ドルからとなっているが、プロセッサにSGIのMIPS 16000Aを搭載したハイエンドの設定では30万ドル以上となる。
「ここ数年間、コモディティサプライヤがビジュアル化に必要な機能を提供するのを待っていた。このチップは、わが社が高性能アーキテクチャに求めていたイメージ品質と性能を満たす最初のものだ」と、Onyxチームのシニアマネージャ、Guy Russellは語った。
米カリフォルニア州のコンサルティング会社TiburonのJon Peddieによると、米IBM、米Sun Microsystems、米Hewlett-Packard、米Quantum 3d、米Evans and Sutherlandなどのライバル各社では、すでにメインストリームのグラフィック技術を利用しているという。「ワークステーション向けのプロプライエタリなグラフィックス技術は殆ど消えつつある」(Peddie)
SGIのRussellによると、Onyx4 UltimateVisionの性能は前製品の5倍以上で、価格性能比では40倍以上向上させたという。
だが、メインストリームの技術を活用することは、両刃の剣となる。たとえば、SGIは、普通の技術を用いるHPのワークステーションで十分だとするDreamWorksなど、いくつかの顧客を失っている。さらに、同社は財務的にも苦しい状態にあり、今年5月には400人程度のレイオフを発表している。
SGIの新製品は単なるグラフィックカード以上のものだ。高速な内部接続が可能なことから、メインプロセッサは常にグラフィックカードをフル稼働状態に保つことができる。
Onyx4 UltimateVisionは、油田観察コンピュータモデルや自動車の新規設計のレビュー、陸軍戦闘のシュミレーションなど、グラフィック分野にとって新しい用途で使われる。新製品の顧客であるLos Alamos National Laboratoryでは、プロセッサを80基搭載したモデルを購入して、核兵器の爆発および時間効果のシュミレーションプログラムの一部に使用し、ミサイル弾頭が計画通りに爆発し、計画されていないときには爆発しないことを保証するのに用いる予定だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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