2週間前に最速サーバの栄冠を初めてWindowsサーバに譲り渡したUnix陣営だが、早くもIBMの新コンピュータがこの王座を取り戻した。
より高速なプロセッサへの変更や、コンポーネンツの入れ替えなどを新たに施したIBMのp690 Turbo Unixサーバが、Transaction Processing Performance Councilの策定したTPC-Cテストで、1分当たり68万1000トランザクションというスコアを達成した。これは2週間前に、Hewlett-Packard(HP)のWindows Server 2003搭載マシンSuperdomeが記録した65万8000トランザクションをわずかに上回る新記録だ。
「(Microsoftの最高経営責任者)Steve Ballmerがドイツの聴衆の前で、MicrosoftのオペレーティングシステムはTPC-Cでトップスコアだと自慢げに話していたのを目にしたが、もう自慢する権利もなくなった」とRedMonkのアナリスト、James Governorは述べている。
今回のテスト結果で打撃を受けるのはMicrosoftだけではない。IBMは長年、TPC-CテストにOracleのデータベースソフトを用いていたが、今回はOracleではなく、自社製品のDB2を使用したのだ。
「このテスト結果を受けて、マーケティングの観点だけでなく技術的観点からも、DB2が社内で勢いづくのは間違いない。DB2が十分優れていなかったとすれば、そもそもIBMのサーバ担当者が使うはずがない」(Governor)。
IBMは、DB2を採用したことで、Oracleのマーケティング計画の足下を掬うことにもなる。Oracleはもはや、IBMがベンチマークテストでシステム性能をぎりぎりまで搾り上げるため、Oracle製品を使わざるを得なかったと自慢げに吹聴することができなくなった、とGoverner。
Oracleは現在、データベース市場ナンバーワンの地位を守ろうと必死に努力している。
IBMは、2001年に富士通の128プロセッサシステムに奪われたTPC-Cテストスコアトップの座を取り返そうと、TPC-Cテストに猛然と取り組んできた。
TPC-Cベンチマークは、実世界での実際の性能の一部しか反映していない。たとえば、ベンチマーク競争用のシステムは特殊な設定になっていることがあり、テスト結果に歪みが生じる恐れがある。サーバメーカー大手のSun Microsystemsはこのような問題への危惧と、テスト実施には数百万ドルもの費用がかかることを理由に、テスト参加を拒否している。
しかしこういった問題にもかかわらず、「TPC-Cへの関心は最近再び高まっている」とGovernerは言う。彼は「なぜ人気が再燃しているのかはわからない」と述べたが、2つの大口顧客――日本の金融サービス会社と米国の小売会社――が、このベンチマーク結果を受けて、IBMのUnixサーバの購入を決定したと付け加えた。
TPC-C最速となったIBMのシステムの価格は760万ドル。一方、記録を追い抜かれたHPのWindowsマシンSuperdomeは640万ドル。しかし、プロセッサ64基のSuperdomeに対し、IBMのシステムは32基なので、ソフトウェアのライセンスがプロセッサ数ベースの場合、IBMシステムのほうが少ないライセンス料で済むことになる。
念願の王座を奪回したIBMだが、首位の座は数カ月しか続かないかもしれない。新たな競合サーバの発売が間もなく予定されているのだ。
HPは今後、WindowsではなくUnixが稼動する新Superdomeを発売するが、現在はこの新Superdomeでのベンチマークに取り組んでいるという。さらにHPは数カ月後に、HPのPA-RISC 8800かIntelのItaniumを128基搭載したシステムを発売する予定だという。一方IBMは、2004年発売予定の64プロセッサー搭載「Squadron」Unixサーバで、これら競合システムに対抗する考えだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」