ノベル、「Xen」搭載の「SUSE LINUX Enterprise Server 10」ベータを発表

文:Stephen Shankland(CNET News.com)
翻訳校正:尾本香里(編集部)
2006年03月23日 13時35分

 Novellが今週、自社のLinuxディストリビューションの旗艦製品を発表した。同社は、この製品に追加された、1台のサーバ上で複数のOSを稼働させ、サーバをより効率的に利用するための重要な新機能を大々的に売り込んでいる。

 Novellでデータセンターマーケティングを統括するJustin Steinman氏によると、「SUSE LINUX Enterprise Server(SLES) 10」には、複数のOSを稼働させる仮想化ソフトウェア「Xen」が搭載されているという。この動きは驚くには値しないものの、Novellにとっては、この取り組みは重要なものだった。Xenを使えば、Linux以外に、Novellにとって重要なもう1つのOSであるNetWareを1台のマシン上で動かせるようになるからだ。

 Novellは今週、ユタ州で開催されている「Novell BrainShare Global 2006」カンファレンスにおいてSLES 10のベータ版を発表した。Steinman氏によると、同製品の正式版は「今年の真夏頃」に出荷される予定だという。Novellにとって最大のライバルであるRed Hatは、2006年末までに投入予定の「Red Hat Enterprise Linux 5」にXenを搭載しようとしている。

 Xenは、OSがメモリやネットワークなどのコンピュータ資源にアクセスするのを管理するハイパーバイザーソフトウェア。Xenをはじめとする仮想化ソフトウェアは、ハードウェアをより有効に活用することで消費電力の増大や過熱といった問題に対処したいと考えるデータセンター事業者から注目されている。

 現行のXenでは、LinuxとNetBSDを動かすことができる。また、Sun Microsystemsの「Solaris」を稼働させるための取り組みも現在進められている。さらに、現行のIntel製チップや、Advanced Micro Devicesが数カ月以内に投入するチップを利用すれば、Xenを使ってMicrosoft Windowsなど、ほかのOSを実行することも可能になる。

 Novellは、一時は市場を独占したNetWareからLinuxに顧客を移行させようと躍起になっている。しかし、「Open Enterprise Server(OES)」という統合製品に、NetWareだけでなくSLESを同梱させているにもかかわらず、この移行はスムーズに進んでいない。

 Credit Suisse First BostonのアナリストJason Maynard氏は、Novellが3月に入って業績を発表した後に出したレポートのなかで、「Linux市場は活気に満ちており、NovellではLinuxビジネスを成長させていくべきだと、われわれは今も信じている」と述べていた。さらに同氏は「NetWare/OESビジネスが安定しつつあることを示すデータは、現在までのところ見たことがない」としていた。

 NetWareの次期バージョンは、SLES 10とともにパッケージされ、「OES 2」として今年末までに投入される予定で、「SLESプラットフォームの上に構築され、Xenの仮想化技術を活用できる」ものになるとSteinman氏は説明している。

 Xenはいまだに急速な変化の途中にあり、主流のLinuxカーネルにはまだ統合されていない。だが、すでに利用可能な状態にはなっており、顧客側の要望も強いと、Steinman氏は言う。「Xen 3は主要な用途に対して十分使える状態にある」(Steinman氏)。NovellがXenの開発に深く関わっていることを考えると、同プロジェクトがSLESに搭載されるバージョンとは異なる方向へ発展する可能性への懸念はないと同氏は述べている。

 Red Hatと同じく、NovellもXenSourceとの提携を計画しているが、Steiner氏は詳細を明らかにしなかった。XenSourceはXenの商用化を手がける新興企業。

 SUSEの「Yast」ソフトウェアには、管理者がOSのインスタンスを起動したりシャットダウンしたりするためにモジュール類が含まれている。さらに、別の管理ツールを使えば、アプリケーションを動かしているサーバが落ちた場合でも、そのアプリをXenに対応するサーバに移行することも可能になると、Steiner氏は説明した。

 同氏によると、WindowsやLinux、Unixの各システムを監視する一元化されたパッケージなど、さらに上位の管理ツール類も開発が進んでいるという。「われわれには、ポリシーに基づいた適応力のあるデータセンターを実現するというビジョン」があり、そこでは優先順位の高いタスクにリソースを移すために仮想化技術が利用されると同氏は述べている。

 「Novell BrainShare Global 2006」カンファレンスでは、Novellが4月に「Novell Zenworks 7 Linux Management」ソフトウェアの特製Dellエディションを出荷することも発表された。このソフトウェアを使う顧客は、1台のコンソールから、ソフトウェアの導入やハードウェア、OS、アプリケーションの管理を直感的に行えるようになる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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