BPM/BPOのあるべき姿とは?

藤本京子(CNET Japan編集部)2003年07月23日 17時27分

 企業がビジネスプロセスを変革させ、コアビジネス以外の業務を外部に委託して中核業務の最適化を実現させるというBPM(ビジネスプロセスマネジメント)およびBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)。国内でも広がりつつあるBPM/BPOの背景には何があるのか、また効果的なBPM/BPOを実現するための課題は何なのか。都内にて開催されたBPM/BPOフォーラム2003において、国際大学教授でビジネスプロセス革新協議会常任理事の中島洋氏が講演を行った。

 中島氏は、現在日本が再編成の時代を迎えていることを指摘する。金融・製造・流通業における構造改革や、企業統合・連携といった産業界全体の再編成に加え、各企業で業務の見直しが行われ、アウトソーシングが進んでいるといった変革だ。このような状況の中、企業間システムの再構築やコア業務システムと外部委託システムの連携、またWebサービスによる業界統合システムなどが必要となってくる。そこでBPM/BPOの重要性が増すわけだ。

 こうした産業的な背景に加え、BPM/BPOが注目を浴びる理由として中島氏はインフラや勤務スタイルが変化していることをあげる。ネットワークインフラの低価格化が進み、ブロードバンドがデフォルトのプラットフォームとなりつつあることで、業務を外部委託した場合でも品質管理や外部とのコミュニケーションが容易となる。内部・外部の連携統合が実現するわけだ。

国際大学教授
ビジネスプロセス革新協議会常任理事、中島洋氏

 また、団塊世代と呼ばれる1947年生まれの労働者が2007年に定年を迎え、都市部から人が消えるとされているが、その際の新しいシナリオとして中島氏は「そういった世代の人たちがSOHOやマイクロビジネスでこれまでの経験を生かした業務を続けることが考えられる」とし、外部委託の市場が拡大するだろうと語る。

 ただ、BPM/BPOが進むとはいえ、目的がはっきりしないまま変革やアウトソーシングのみを行っても意味がないと中島氏は警告する。重要なのは、企業のビジョンを見定めた上で、変革の方向を決めること。「企業にとって何がコアビジネスなのか見直し、経営指標をリアルタイムで経営トップに届ける体制を整える。また個々の現場の情報システムコストを掌握(しょうあく)できているかも重要だ」と中島氏。

 コアコンピタンスに事業を集約したところでアウトソーシングとなるわけだが、ここでも「単なる外部への業務委託に終わるべきでない」と中島氏。たとえばアウトソーシングの需要が高いコールセンターは消費者の意見が直接聞こえる場でもある。消費者保護への動きが進んでいる現在では特に「顧客の意見や苦情は重要な情報だ。これを生かして商品開発に結び付けていかなくては」と中島氏はいう。「自社のビジョンにしたがって事業構造を変え、アウトソーシングする。これが正しいあり方だ」(中島氏)

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