アップルの巨額の現金保有--高まる利益還元の声

文:Stephen Shankland(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2010年08月17日 07時30分

 小遣いの額として460億ドルは多すぎるかもしれない。

 ある著名な金融アナリストは米国時間8月12日、このように主張し、Appleが同社の莫大な現金準備金を使って、もっと株主の利益になることを行うべきときが来たと述べた。Sanford C. BernsteinのアナリストであるToni Sacconaghi氏は、Appleの取締役会への公開書簡の中で、現金の一部を配当金として株主に還元するか、あるいは自社株買い戻しによって同社の株式価値を高めるよう強く促している。

 「株主と話す中で最もよく聞いた不満(これは今や憤慨に近い感情になっている)は、Appleの現金残高が急増していることと、同社がその現金を株主に還元したり、将来の利用計画について議論したりするのに消極的であることだ。Appleの現金残高の金額は尋常でない。49社を除くS&P 500企業全社の合計時価総額よりも多い。また、米国の上場企業の中で最も多く、現在も増え続けている。現金の利用計画とその理由が分かる長期のロードマップを株主と共有するとともに、現金を還元することを検討するようお願いしたい」。Sacconaghi氏はこのように記している。

 Appleの現金は年利0.76%で利子を稼いでいる。ほかの選択肢を比較すると、「価値を破壊」するような利率だ。Sacconaghi氏は代替策として、300億ドルの株式買い戻し計画の即時実施と4%の年間配当金を提案した。

 Appleはこの件にコメントを出すことはしなかったが、最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏は2月の株主総会で同社の現金について株主から追及され、この問題に言及している。

 Jobs氏は株主総会で、「現金があることによってわれわれは途方もない安定と柔軟性を手にすることができる。リスクを冒して空中にジャンプしなければならないとき、着陸するところに地面がちゃんとあることが分かっているのは大きい。どのような機会が間近に迫っているか分からないので、われわれは財務的には安全な運営を心がけている。何かを買収する必要性に迫られたとき、お金を借りるのではなく小切手を切ることができるのは幸運だ」と述べた。

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