最悪のシナリオは、電気自動車が再生可能なエネルギー源からではなく、石炭による電力で走行するというものだ。
これは、夕方にプラグイン車を充電するために追加の電力が必要となった場合に起こる可能性がある。帰宅する通勤者たちによって電力使用がすでにピークに達している時間帯に、電力の需要が大幅に高まる可能性がある。
現在、マージナル電源を供給するドイツの発電所は石炭を燃料としている。同研究では、主たる問題はこの点だとしており、石炭は、同量のエネルギーを生み出すのにガソリンさえも上回る量の二酸化炭素を排出すると付け加えている。
「皮肉なことに、電気自動車にさらに多くの電力が必要になるというわけではない。しかし問題は、電気自動車によって電力需要のピークが発生すると、大規模な充電の開始に応じて稼働を開始できる発電所が必要になるということだ」(Raddatz氏)
同研究によると、旧来の石炭を燃料とする発電所からの電力で稼働するリチウムイオンバッテリを搭載した電気自動車は、1km当たり200gを超える二酸化炭素を排出する可能性があり、これに対して現在の平均的なガソリン車が欧州で排出する量は1km当たり160gであるという。欧州連合(EU)の2020年の二酸化炭素排出量の目標値は、1km当たり95gだ。
WWFは、エネルギー負荷を管理するスマートなシステムとバッテリ充電システムがあれば、ピークを夜間に分散して平準化できるとしている。同研究では、100万台を超える自動車が充電される場合、負荷管理が不可欠となるが、スマートグリッドだけでは不十分だという。大量の電力貯蔵も必要となる。
「自動車のバッテリとは別に、ほかの種類の蓄電装置も開発する必要がある。再生可能なエネルギー源から大量のエネルギーを得られるようにしなければ、二酸化炭素は削減されない」(Raddatz氏)
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