WGA Notificationsツールは未完成のツールだが、Microsoftの他のベータ版ソフトウェアで表示されるような警告(すなわち、「このツールをインストールするとシステムがクラッシュしたり、PCのパフォーマンスが低下したりすることがあります」といった内容のメッセージ)も表示されない。この点についてはLazar氏も認めている。
「WGAはプレリリース版ソフトウェアだ。まだ、配布メカニズムも含めて、エンドツーエンドでテストしているところだ。 ただ、このツールは徹底的にテストされているので、インストールおよび実行しても安全だ。その点は保証する」(Lazar氏)。
同氏によると、Microsoftも配布の問題点については認識しているという。
「ユーザーがこのツールの機能、とりわけその配布方法に関して懸念を抱いていることは分かっている。その点は今後検討していくつもりだ」とLazar氏は言う。この言い方からすると、MicrosoftはWGA Notificationsの現在のテスト方法を今後も変えるつもりはないということのようだ。
WGA NotificationsはMicrosoftのポリシーにおいて例外的存在であるLazar氏は言う。「Microsoftは評価版ソフトウェアに対するアプローチを変更したわけではない。つまり、登録段階を経ずに、いきなり未完成のコードを一般に配布するようなことはない。
「今回の件はあくまで例外であってMicrosoftはポリシーを変更したわけではない」(Lazar氏)。
WGA Notificationsプログラムは、2007年1月にリリース予定の次期OSであるWindows Vistaに組み込まれる海賊版対策機能の原型となる。Vistaでは、同OSの一部の機能が正規版だけで動作するようになる予定だ。
WGA NotificationsをダウンロードおよびインストールしたWindowsが海賊版だった場合は、OSの起動時、ログイン時、および使用中に警告メッセージが表示されるようになる。正規版を使用しているユーザーにはこうした警告メッセージは表示されない。
Microsoftによると、自分が使用しているWindowsが正規版かどうか判定することはユーザーにも恩恵をもたらすという。例えば、「Windows Defender」などの追加ソフトウェアをダウンロードできるのは、正規版Windowsのユーザーだけに限られる。また、海賊版と思われるWindowsには、「重要な」アップデートだけがダウンロードされ、緊急度の低い修正プログラムはダウンロードされない。しかし、ハッカーたちもこうした海賊版チェックを回避する方法を考えており、いたちごっこが続いている。
「われわれの経験では、海賊版の判定プロセスが分かりやすく、目障りにならず、迅速で簡単なものであれば、ユーザーは自分の所有しているWindowsだけでなく、Microsoftという会社にも、より高い評価を与えるようになるだろう。WGA Notificationsツールの機能は確実に改善されている。ユーザーは自分が支払った対価に見合うものを確かに手にしていると確認できることを評価するはずだ」(Lazar氏)。
Microsoftが2004年9月に最初にリリースしたWGAプログラムは、Windows UpdateやMicrosoft Download Centerサイトからダウンロードする場合だけ、正規版Windowsかどうかのチェックをユーザーに求めるものだった。チェックするかどうかは任意だったが、56%のユーザーがチェックを受け入れていた。
ユーザーはアップデートされたWGA Notificationsのダウンロードを拒否できるが、60%のユーザーがインストールすることを選択しているという。
WGA Notificationsのインストールは拒否できるが、いったん動き出すと削除することはできない。また、インストールを拒否したユーザーにはツールを実行することを勧めるリマインダが送信される。セキュリティサービスの「Windows Live OneCare」をサブスクリプションしている場合はまさにそうで、「Microsoftのアップデートをインストールしていないのでコンピュータが危険にさらされている可能性がある」との警告が表示される。
Microsoftは、OneCareのケースに関して、とりわけWGA Notificationsのインストールをユーザーに強制する必要があるのかどうかという点について調査中であるという。
インストールに関する懸念は、WGAプログラムに対する最近の批判であがってきた声だ。Microsoftは先週、WGA Notificationsツールが起動されるたびにMicrosoftのサーバに報告することをユーザーに通知していなかった点について公に過失を認めた。ある批評家は、WGA Notificationsツールのこうした非公開の動作をスパイウェアと変わらないと批判していた。
こうした批判に対して、Microsoftは6月、サーバへの報告頻度を2週間に1回に減らしたWGA Notificationsのアップデート版をリリースする予定だ。年末に全世界でリリースされる最終版では、こうした報告を一切廃止するという。
Microsoftは、このツールを実行することをユーザーの選択に任せるのか、それとも強制するのかについては、まだ決定していない。
「任意にするのか強制にするのかは検討中だ」(Lazar氏)。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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