現在、最も使用されているウェブブラウザは「Google Chrome」である。スタートアップ企業のVivaldi Technologiesによるブラウザ「Vivaldi」が近いうちにChromeからその地位を奪うことはないだろう。しかし、同社はVivaldiブラウザのベータ版リリースから6カ月間でかなりの数のユーザーを獲得している。
ノルウェーのオスロに拠点を置くVivaldi Technologiesは「Opera」ブラウザの理念を受け継いでいる。Operaもオスロで誕生したブラウザであり、Vivaldi Technologiesの最高経営責任者(CEO)を務めるJon von Tetzchner氏は、Opera Softwareの共同創設者でもある。2011年にOpera Softwareを去ったvon Tetzchner氏は、スタートアップ企業への出資にエネルギーを傾けるようになった。しかし、同氏は2014年、Chromeや「Firefox」が簡素すぎると考えるユーザーのために、カスタマイズ可能なツールを多く含む新ブラウザの開発に注力する決断を下した。
von Tetzchner氏が現地時間5月10日に米CNETに述べたところによると、パワーユーザーの要望に応え、彼らの求める機能を迅速に組み込もうと努力することによって、Vivaldiの月間アクティブユーザー数は100万人近くに達したという。「利益を出すためには、あと数百万人、おそらく500万人程度のユーザーが必要だろう」と同氏は語る。「目指しているのは、そこから成長すること」で、現在35人いるスタッフをもっと増やし、新しい方向に拡大することである。
今はブラウザ事業を立ち上げるのが困難な時代だ。GoogleのChromeが市場を支配している。Chromeは2008年にリリースされてから、Mozillaの「Firefox」やAppleの「Safari」、そして長年市場をリードしてきたMicrosoftの「Internet Explorer」(IE)を抜き去ってきた。GoogleはPCやスマートフォン、タブレット、学校で人気の高い「Chrome OS」搭載ノートPCを対象に、Chromeの積極的な開発とプロモーションを続けている。
しかし、ウェブに対して新鮮なアプローチを求めている人のために、ほかにも多くの選択肢が存在する。Mozillaの共同創設者Brendan Eich氏による「Brave」、中国の検索大手Baidu(バイドゥ)の「Baidu Browser」、ロシアにおけるGoogleの最大のライバルが提供する「Yandex Browser」、中国のEコマース大手Alibaba(アリババ)が買収した「UCWeb」モバイルブラウザなどがそうだ。Microsoftまでもがこのトレンドに乗っており、IEユーザーを新しい「Edge」ブラウザに移行させようと試みている。
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