(編集部注:米CNETによる「HTC Vive」のレビューを2回に分けて翻訳して公開します。後編は4月22日に公開しています)
自分がどこにいるかわからなくなる。文字どおり、そんな感じだ。
仮想世界の中では、どこにいるかわかっている。ミニゴルフのコースだろうか。海の底なのか。ロボットだらけの変なオフィスだ。筆者の小さなホームオフィスが、夜中にそういった場所に変わる。筆者はそんな世界の中を自分の足で歩いた。手でものを引き寄せた。そして何度も、たとえば海底の暗闇で発光する魚の群れを眺めているうちに、光る青いグリッドを目にすることになった。そこが突き当たりだ。部屋の壁である。シミュレーションの範囲はそこまでだと、「HTC Vive」が教えてくれたということだ。ヘルメットを外して、あたりを見回すと、クローゼットのそばにうずくまっていて、足元はコードだらけだった。
ひとまず、目を休ませよう。
「スター・トレック」に登場するホロデッキを覚えているだろうか。あるいは、Ray Bradburyの小説「草原」でもいい。仮想現実(VR)には違いない。しかし、部屋全体で何かが動き出して、その中にいるというのは、VRとは別のタイプの空間マジックだ。今のところ、そんなマジックをHTC Viveだけが実現している。
市販のVRシステムのなかで最も有名な「Oculus Rift」と同様、HTC Viveも動作にはハイエンドのゲーミングPCが必要だ。長いケーブルでPCにつながれる。ただしHTC Viveには、手で空間に触れ、歩き回るためのハードウェアも付属する。1組みのモーションコントローラと、光を発する2つのボックスによって、室内の空間がマッピングされたグリッドに変わる仕組みだ。
自分がVRに入るだけではない。自宅の一部もVRの中に入っていく。
仮想現実にPCを利用するということは、グラフィックスと処理能力の限界を押し上げるということだ。その利用のしかたには、HTC ViveとOculus Riftで多くの共通点がある。難点は、かなり高性能な大型の「Windows」PCが必要になることだ(要件についてはこちらを見てほしい。おそらく、皆さんのPCもアップグレードが必要だろう)。しかも、ケーブルで接続しなければならない。
HTC Viveには、目と頭だけではなく、VRの中で手と身体を使う機能が加わっている。
価格は800ドルで、モーショントラッキングヘッドセット一式と、2個の無線モーションコントローラ、そして2個の小型ボックスがセットになっている。このボックスは、ひゅんひゅん音を立てながらレーザーを発して室内をスキャンし、モーショントラッキングによる仮想空間の境界線を作り出す。そのほか、イヤホン、レーザーボックス用の取り付け金具、電源アダプタ、大量のケーブルが付属する。
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