Googleの共同創設者であるSergey Brin氏は、スカイダイバーたちが降下していく生中継の映像を交えながら、次世代ウェアラブルコンピュータを開発する同社の試みである「Google Glass」のデモを行った。このとき、Google Glassがサイドプロジェクトなどではないことが明白になった。それはGoogleの未来を表していた。
Google Glassが消費者向けに発売されるのは2014年以降になるが、一部の開発者グループは「Google Glass Explorer Edition」を2013年初頭に購入できるようになる。
Googleがこのメガネを、消費者向けの発売より1年以上前に開発者に提供しようとしているのはなぜだろうか。答えは簡単だ。GoogleはGoogle Glassを次の主要な開発者プラットフォームにしたいと考えているからだ。
この5年の間に数多くの開発者プラットフォームが立ち上げられたが、開発者コミュニティーや世界経済に与えた影響の点で、2つのプラットフォームが際立っている。1つは2007年に立ち上げられた「Facebook Platform」、もう1つは2008年に発表されたiPhone App Storeだ。
Facebook Platformは、主要なソーシャルアプリプラットフォームとしては最初に登場した。これによって数多くの開発者が、自らのアプリやツール、ゲームを使って非常に多くの人々にリーチできるようになった。Facebook Platformは、ソーシャルをプラットフォームとして確立し(BeboやMySpace、Friendsterが独自のプラットフォームを立ち上げるのに時間はかからなかった)、Facebookをソーシャルの世界の中心的存在に変える役割を果たした。
Steve Jobs氏は当初、iPhone App Storeのアイデアに難色を示していたが、幸いにも、iPhoneをサードパーティーの開発者に公開することに同意した。iPhone App Storeはわずか500件ほどのアプリでスタートしたが、300億回のダウンロード、65万件のアプリ、そして開発者への配分金は50億ドル以上になるところまで成長している。iPhone App Storeがなければ、「Path」「Flipboard」「Instagram」「Socialcam」「Foursquare」といったアプリは存在しなかっただろう。
こうしたアプリストア競争で出遅れたGoogleは、それ以来、遅れを取り戻そうと奮闘してきた。しかしGoogle Glassのおかげで同社は、未来の開発者プラットフォームを構築する新たな機会を手にしている。
開発者たちがGoogle Glassの可能性に胸を躍らせているのは明らかだ。このメガネはGoogleのI/O開発者カンファレンスでも最大の称賛を受けた。しかしそれだけではなく、開発者にとってこれは、パーソナルコンピューティングの新境地を開拓し、その過程で多くの利益を上げる新たな機会となる。
新しいスマートフォンを手に入れたときに初めにすることの1つは、アプリのダウンロードだ。筆者は、このメガネでも同じになると思う。Google GlassにInstagramをインストールしたり、新しい拡張現実アプリを使ってすてきなレストランを見つけたりしたいと誰もが考えるはずだ。Google Glassをベースとすれば、「iPhone」や「Nexus」では不可能な、新たな種類のビジネスを構築できる。またGoogle Glassは「Android」上で動いているため、Androidのアプリストアも既に組み込まれている。
Googleが温めてきた最新プロジェクトが、次の大規模な開発者競争の舞台となるかどうかは、Google Glassに対する消費者の需要(または需要の欠如)によって最終的に決定されるだろう。だが、iPhone App Store以来、これほどまでに消費者や開発者の関心を集めるものを筆者は見たことがない。この利点は非常に大きい。そして市場を混乱させる可能性も同じくらい大きい。
筆者は、Google Glassをベースとする大きなビジネスが数多く構築されるのではないかと考えている。それはGoogleの未来にとっても、同社の利益にとっても非常に良いことだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」