Andy Rubin氏の言葉を額面どおりに受け取れば、現代の最も賢明なテクノロジストの1人である同氏は、自らの創造物がもたらした影響を受け入れるのに苦労している。
Googleの「Android」担当責任者であるRubin氏はバルセロナで開催のMobile World Congressで現地時間2月27日、最新のアクティベーション数について話したが、Androidは「業界の力学を変えるために構築されている」わけではないと述べた。
これはどういうことだろうか。
Rubin氏が自らのチームを十分に称賛していないことは明らかだ。現在、1日あたり約85万台のAndroid携帯電話およびタブレットがアクティベートされている。それに比べて、2011年11月の1日あたりのアクティベーション台数は55万台だった。これはどう考えても注目に値する数字だ。
しかし、Rubin氏の言葉を鵜呑みにしなければ、その言外には、通信事業関連メーカーが思う存分に新しい技術を取り入れることのできる繁栄したテクノロジエコシステムの基盤として、Googleのテクノロジの普及を促進していくという目的が見える。Googleは「大勢の人々をコモディティ化して、彼らのあらゆる製品を同じようなものに変えよう」としているわけではない、と同氏は力説した。
それが同社の公式見解なのだろう。だが、テクノロジ業界の近年の歴史は、それとは大きく異なる結果を示唆している。以下に理由を説明する。
パーソナルコンピュータが利幅の大きい商品で、ユーザーがこれらの魔法のデバイスを家に持ち帰るために喜んで大金を払っていたのは、それほど昔の話ではない。メーカーと小売店は、ユーザーが必要としているとされる世話をすることで、簡単に大金を請求することができた。「Autoexec.batだって。それは一体何だ?」という具合だ。
われわれは皆、テクノロジ分野の難解な用語を大体の意味が通じる言葉に翻訳してくれるデジタルの達人に喜んでお金を払っていた。それは、楽な商売で利益をむさぼったBusinesslandのような企業向け再販業者やComputerLandのようなチェーン店、さらにはタイミングよく開業した数多くの独立系ディーラーにとって、好況を促進する助けになった。
しかし、より良い価格と機能を提供する類似製品のメーカーの出現がすべてを変えた。そして、コンピュータの使い方を学習する人が増えるにつれて、買い物客は代替品をより入手しやすくなった。DellやGateway 2000のような企業が通信販売で商品を提供し始めたことで、かつて神秘的だった製品のコモディティ化はさらに加速する。経験豊かな消費者はメーカーの宣伝文句を見抜いており、自分が買おうとしているものがケーブルとボードの集合体であって、1つのモデルとその隣のモデルの間には事実上相違点が存在しないことを理解していた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」