地元店舗の批評サイト「Yelp」、急成長の秘密 - (page 2)

文:Stefanie Olsen(CNET News.com) 翻訳校正:矢倉美登里、小林理子2007年08月07日 16時49分

 だが、Googleがこれまで、買収を視野に入れてソーシャルネットワーキングツールの強化を狙ってきたことに注目して考えれば、両社のこういった関係は、Googleが将来Yelpの買収を考える場合の論拠となる可能性を指摘するアナリストは1人にとどまらない。GoogleがFacebookの買収の道を探っているといううわさはかなり以前からある。

 「Yelpはおもしろい。うまく人々の間に広め、人々が互いに応答しあうようにもっていって、サイトとの結びつきを強めることに成功してきた。ソーシャルネットワーキング分野はGoogleの弱点なので、買収を考えても不思議ではない。Yelpは格好のターゲットかもしれない」と、Yankee Groupのシニアアナリスト、Jennifer Simpson氏は指摘する。

 株式非公開企業のYelpは、2004年にPayPalの2人の元ベテラン社員、Jeremy Stoppelman氏とRussel Simmons氏によって設立され、そのときに、Benchmark CapitalとBessemer Venture Partnersから1600万ドルのベンチャー資金を獲得した。たいていのソーシャルネットワークと同様に、Yelpはまだ利益を出すまでには至っていないが、利用者と広告主の増加をねらって積極的に規模を拡大する予定だ。広報のIchinose氏によると、2008年半ばまでに新たに25都市に進出する計画だという。

 Yelpは、広告掲載とウェブページ公開の料金として事業経営者から月額100〜2000ドルを徴収して売上を得ているとIchinose氏は言う。パッケージ料金を払った事業経営者は、スライドショーやコメント、メニューなどでウェブページをカスタマイズできる。「ピザ」という検索キーワードを入力すると、スポンサー付きの検索結果ページにピザ店が表示されるなど、関連する検索結果ページに店のリストが表示される。

 これまでのところ、脱毛サービス店Eyebrows to Die Forの経営者であるKimberly Jones氏のような人々には、このパッケージが役に立っている。Jones氏は、自分のページで「最適化された」広告を行うために、Yelpに月100ドル払っている。月10人のペースで訪れる新規顧客のうち平均7人は、Yelpを見て来た客だという。「最初は、『どうかな?』という感じだったけれど、今では多くの顧客を獲得している」とJones氏。

 カリフォルニア州オークランドのライター兼コンサートの予約係、Dan Strachota氏は、中傷された店の一従業員として、そして批評を投稿した人間として、Yelpのプラス面とマイナス面の両方を実感した。

 Strachota氏は2006年に、オークランドにある地元のカフェの経営者との散々な体験について書きたくて、Yelpに登録したという。「最終的は、プラスマイナスなしというところだ」とStrachota氏は言う。同氏が、カフェでワイヤレスインターネットサービスを利用するのに必要な4ドルという最低料金の注文をしなかったため、カフェの経営者から文句を言われたという。Strachota氏は、結局、2ドル75セントの支払いに加えて店にとどまるために3ドル支払った。「金額の問題じゃない。経営者の態度が問題なんだ」とStrachota氏。だが、Strachota氏がYelpに不満をぶちまけた結果、カフェの経営者とその友人との敵意に満ちた応酬に発展した。たとえば、カフェ経営者は、彼のYelpページでStrachota氏について触れ、「Dan S.氏のような客は店に必要ない」と書き込んだ。

 Strachota氏は、友人に「子どもじみたことはいいかげんにしたらどうだ」と言われ、非難の応酬をやめたという。

 その一方で、Strachota氏は、勤め先のサンフランシスコのクラブが「お門違いの投稿」をされたときは、その攻撃からクラブを守ったという。

 こうした非難の応酬はYelpではよくあることで、Yelpのオフィスにまで響いてくることもある。Ichinose氏によると、事業経営者から批判的な批評を削除してほしいと苦情が寄せられるが、これまでのところ、他の批評サイトと違って訴訟は起こされてはいないそうだ。Yelpの標準約款では、サイトには好意的な批評だけでなく批判的な批評を掲載することも認められている。ただし、うわさに基づく批評や、「ウェイトレスとデートした。あの女は頭がどうかしているし、レストランは最低だ」といった個人的嫌がらせとみなされる批評は掲載されない。

 批評を投稿した地元の人の中には、事業経営者本人から名誉毀損で訴えると脅されたと、Yelpの掲示板に書き込んでいる人もいる

 だが、こうした熱のこもった批評とささいな応酬が、Sonya Yu氏のような傍観者を引きつけているのかもしれない。サンフランシスコでヨガ講師をしているYu氏は、自ら投稿はしていないが、頻繁にサイトを訪問している。

 「どちらかというと、新しがり屋タイプの人が批評する場だ。大手のチェーンストアはこきおろされる。『California Pizza Kitchen』に好意的な批評などは投稿されない」とYu氏は言う。Yu氏が見るところ、残念なのは、ラスベガスやフィラデルフィアといったほかの都市では役に立たない点だ。Yu氏は最近これらの都市を訪れたが、Yelpで良いレストランを見つけることはできなかったという。とはいえ、Yelpはサンフランシスコではカルト的存在になっていると、Yu氏は考えている。

 「サンフランシスコ特有の言い回しでが顕著に見られるし、その大半はサービスの悪さを書き連ねているはずだ」とYu氏。

 MaverickのPiece氏は、熱っしやすい性格で、批判的な書き込みをされたことも1度ではないが、冷静に受け止めようと努めているという。レストランがオープンしたばかりのころ、Piece氏の熱心さのあまりの振る舞いが神経に障る客もおり、そうした客の1人が酷評する投稿をした。

 「私は男だし、紳士だ。『バカ野郎!』という態度を取ることもできたが、もっと冷静になろうと努めた。誰もが自分は批評家だと思っているんだ。それでも、その批判には真実が含まれている場合もときにはある」とPiece氏は語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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