「Microsoftがそのオペレーティングシステム(OS)に対して対等のアクセスを認める限り、わが社は差別化を図ることができる」とセキュリティ会社Sophos(本社イングランド、アビンドン)の最高経営責任者(CEO)であるSteve Munford氏は述べている。「Microsoftと比べて広範かつ包括的な戦略を有するよう確保することが必要だ」(Munford氏)
世界のアンチウイルスソフト市場を主導するSymantecは、VistaとMicrosoftのセキュリティ分野への進出に対し最も声高に警告を発している。最高経営責任者(CEO)のJohn Thompson氏は2006年に入り、将来的に全てのセキュリティアプリケーションがMicrosoftから提供されるという事態を警告している。
「米国企業が表明している懸念は本物である」とF-Secure(本社フィンランド・ヘルシンキ)のCEOを務めるRisto Siilasmaa氏は述べている。
特に心配されるのは法外な価格設定であると、Siilasmaa氏は言う。「もしMicrosoftが市場シェアを獲得するために同社のソリューションの価格水準を著しく引き下げて提供し始め、その数年後にまた価格を引き上げるようなことを計画しているとすれば、これは明らかにどの企業も対処すべきビジネス上の問題である」と同氏は言う。
Microsoftは価格設定の戦略を変更するかもしれないと、Munford氏は言う。「誰もが価格設定のことを心配しがちだが、現段階では、法外な価格設定がなされるような兆候は何も見られない」と述べる。Siilasmaa氏もまた、Microsoftが競合他社を締め出すために意図的に低い価格で製品を販売する兆候はまだみられていないと述べている。
短期的にはMicrosoftがセキュリティ業界に参入することで価格は低下するかもしれない。だが、これは必ずしもソフトウェアの購入者にとって好ましいことではないと、Franco氏は言う。「Microsoftがこの分野で競争しようという策略は最終的には消費者を害する結果となると考えている」(Franco氏)
Microsoftは個人向けセキュリティ製品であるWindows Live OneCareを米国市場に投入しているが、まだ欧州では公開していない。
XPにも含まれていたファイアウォールに加え、Vistaには、「Windows Defender」と称するアンチスパイウェアソフトと、PCの保護状況を通知する新機能「Windows Security Center」が搭載される予定である。セキュリティ企業各社はこれらに競合する製品を販売している。
Microsoftの競合企業の一部は、Vistaの64ビット版に含まれている「PatchGuard」機能に対して公に苦情を申し立てている。批判者らは、同機能が有用なセキュリティソフトを締め出すことになると主張している。他方でMicrosoftは、同機能はOSのコア部分を攻撃から保護するために設計されていると述べている。
さらにMicrosoftのセキュリティ製品は、Windowsにアクセスしやすいことで有利となる可能性がある。結局のところ、Microsoftのセキュリティ製品の開発者らは、OSの設計者と同じ場所で作業しているのだからと、指摘するセキュリティ企業もいる。
「MicrosoftはOSに自社のセキュリティ製品を結びつけるために、どんな裏技でも駆使するであろう。誰もが対等な立場につくことはできない」とFranco氏は言う。「MicrosoftはOSをセキュリティアプリケーションと関連付けることに関して有利な立場にある。早期どころか最初にアクセスする機会があるためだ」(Franco氏)
しかしMicrosoftは、自社のセキュリティ製品チームが、他のソフトウェアメーカーと対等な立場にあると主張している。
「わが社はOneCareやForefrontを他社製品と同様に扱っている。誰もが同じ情報にアクセスできるように公平を期している」とRobinson氏は言う。「OnecareまたはForefrontが使用しているものはすべて、第三者も同様にアクセスできる」(Robinson氏)
ライバルのセキュリティソフトウェアメーカーは、Microsoftのカフェテリアで昼食をとり、製品チームと会うことすら歓迎されていると、Robinson氏は述べている。
「われわれがみなMicrosoftに所属し、レドモンドの本社に勤務しているのは事実だ。だが、同時に独立系ソフトウェアベンダーにもこの社屋へのアクセスを認めている。彼らはいつでも様々な製品チームと面会できるし、カフェテリアで昼食をとることもできる」とRobinson氏は言う。
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