しかし、編集された映画のロトスコープ処理工程に入った直後あたりから、いろいろと障害が発生し始めた。Wired誌の記事によると、Sabiston氏と当初からのアニメーション作成チームのメンバーたちは、ロトスコープ作成作業に入って4ヶ月で解雇されてしまったという。締め切りに間に合わなかったことと、作成された映像に統一感が欠けているとLinklater氏が感じたことが解雇の理由だった。
この記事によると、2005年2月、Sabiston氏とチームのメンバーたちがコーヒーショップから戻ってくるとスタジオのドアの鍵が交換されており、作業に使っていたワークステーションも没収されてしまったという。Sabiston氏の代わりに地元の2人のアーティストが採用され、予算も670万ドルから870万ドルに増やされた。Linklater氏は、その後さらに6ヶ月の猶予を与えられ、作品を完成させた(Linklater氏のコメントはとれなかった)。この件についてSabiston氏に尋ねると、「自分はそれについてはコメントできない立場なので」ということで、真相は聞けなかった。
しかし、彼がアニメーションの可能性を大きく広げたことは確かだ。
「できれば、アニメーションが高度な芸術として使用されるのを見てみたい」とSabiston氏は言う。「ほとんどのアニメーションは、そういう形で使用されていない。子供向けがほとんどだ。だから、大人向けの芸術性の高い作品にアニメーションを使うこともできるのだということを訴えかけていくつもりだ」(Sabiston氏)
Rotoshopの初期のバージョンで作成された映像は、1997年、MTVのインタビュー形式の短編映画でモノクロのアニメーションとして放映された。その後、Sabiston氏のチームは、MTVの番組「Roadhead」といくつかの15分の短編フィルムなどの制作を手がけた。
彼は今、故郷オースチンの親友とチームを組んで、「Fuzzytown」という短編フィルムに取り組んでいる。
「この短編は、『不思議の国のアリス』や『ツインピークス』などの流れをくんだ作品で、本当に面白いコメディだ。台本と5分間のサンプルアニメーションを用意してある。契約してくれる映画スタジオを探しているところだ」(Sabiston氏)
今のところ、Rotoshopの使用ライセンスを持っているのは、Sabiston氏と彼が雇ったフリーランスのアニメーターたちだけだ。しばらくは、このままの状態を維持するようだ。
「Rotoshopを使えるのは自分たちしかいないというのは、よいことだ」と彼は語った。「どのような使い方をするか、われわれが決める。われわれが許可した作品にしか使えないようにする。当然、Rotoshopで作った映像をあちこちで目にするというようなことはなくなる。この種の映像はあまり見過ぎるとうんざりしてしまうと思う」(Sabiston氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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