Gmailの件は空騒ぎだとしても、あのときGoogle経営陣が見せた不承不承の対応ぶりは、Intelが1994年に起こした大失態を思い出させる。あの時は、ある大学教授がPentiumの浮動小数点演算用チップのなかにバグを見つけたのだが、それに対する同社の対応はお粗末なものだった。Intelは、バグ発覚後何日も経ってから、同社が尊大な態度でだんまりを決め込んでいることにユーザーが本当に腹を立てていると気づき、それでやっと対策を講じたのだ。
しかし、この失態による損失は大きく、Intelは評判を回復するために大変な苦労をすることになった。
もっと最近の出来事としては、Googleが自社で進める図書館デジタル化計画について、フランスの批判者らといさかいを起こした件がある。Googleの計画は英語以外の文献を軽んじているため、世界文化に対する英語圏人民の支配を助長する恐れがあるとこれらの批判者は考えている。この厄介な問題が、ちょうど米仏関係が微妙な時期にあるときに持ち上がってしまった。Googleは、Brinがフランスの官僚に会うためにパリに向かったと言っている。この問題はまだ一触即発の状態だが、Googleがこれにどのように対応するかを見守ることにしよう。
記者という有利な立場から言わせてもらえば、Microsoftは効果的なPRというものについて、これまでGoogleが身に付けた以上の事柄を忘れてしまったと言える。
先日もこんなことがあった。Googleが1日がかりで記者発表会を開くと聞いて、同社に集まった数百人の記者たちは、同社手配のバスに乗せられて会場につれていかれた。私は、こういううまく演出されたイベントを大いに疑ってかかるタチなのだが、もしかしたら重要な発表かもしれないので参加することにした。案の定、このおしゃべりの会に関して私が言えるのは、ランチがすばらしかったことくらいだ。
これなどまさにGoogleの広報担当者の口車に乗せられた好例だ。この会に集まった記者らは、中身のない退屈なプレゼンテーションに1日の大半を潰されてしまった。Googleで今起こっていることについて、Googleが認識すべきことはたくさんある。私が言っているのは、広告が定期的に掲載される甘ったるい雑誌のカバーストーリーで取り上げられるような話ではない。Googleが本当になすべきことについて言っているのだ。
マスコミの扱いに関しては、Microsoftのほうがはるかに上である。Microsoftの経営幹部、少なくとものSteve Ballmerのような切れ者は、ときとして何がうまくいっていないのかをマスコミに向けてありのままに話す。
Googleには、成長の痛みを感じるようになるまでどんどん稼ぎなさいと言いたい。Googleのある社員が内緒で教えてくれたのだが、同社の幹部らは法律で求められないかぎり(特にせんさく好きなマスコミとは)情報を共有するつもりはないそうだ。彼らが手の内を明かさないのは間違っているのだが、私にはその理由も分かる。Googleは勢いに乗っている。しかし、いつか四半期の業績報告でひどい数字が発表されたら、幹部のこうした考え方も変わるだろう。
以上、いろいろとケチをつけてしまったが、人々はGoogleを許すだろう。人々は物語が好きだから。Googleという会社には、人を自然とわくわくさせるところがある。新興企業がわずかな期間でここまで成長したのである。Googleは実際に興味深い会社である。ここ10年の間にシリコンバレーで作られた最高のサクセスストーリーと言って間違いないだろう。
同社がこれからの10年間もシリコンバレーで最高の物語であり続けるかどうかは、ひとえに経営陣の手腕にかかっている。
筆者略歴
Charles Cooper
CNET News.com解説記事担当編集責任者
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