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普及が先か、アプリケーションが先か--Linux、デスクトップ浸透への課題

2004/05/24 10:20
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 現在Linuxを搭載したPCでは、ウェブの閲覧や表計算なら簡単に行える。だが、小切手帳の帳尻合わせを行いたい場合には、幸運を祈るしかない。

 オープンソースのオペレーティングシステム(OS)であるLinuxは、Adobe Systems、Macromedia、さらに個人向け財務管理ソフト「Quicken」のメーカーとして知られるIntuitといった、主要デスクトップアプリケーションの開発メーカーから大きな注目を集めるには至っていない。この注目度の欠如の問題は、Linuxについて明確なビジョンを持っているBruce Perensのような人物でさえも、当惑している点だ。

 「確かに、私も年に1度QuickenとTurboTaxを実行するためだけにWindows搭載機をいまだに所有している」とPerensは語る。

 QuickenやAdobeのPhotoshopといったアプリケーションなしに、デスクトップLinuxのさらなる発展が見込めるかという点に関し、ソフトメーカー、オープンソース支持者、アナリストの3者は見解を異にする。一部のユーザーが独自に開発したLinux用アプリケーションが発展し、そのような需要を満たしていくと自信ありげに語る人がいる一方、ユーザーをWindowからLinuxに乗り換えさせるためには、馴染みのあるソフトウェアのLinux版は必要不可欠とする意見もある。

 「使い慣れた製品があれば、なるべくそれを使い続けたいと思うのは当然だ」と語るのは、Ximian Linuxデスクトッププロジェクトの共同創始者であるMiguel de Icaza。「ごく少数だが、オープンソースソフトの中にもWindowsアプリと同等の性能を備えたものがあると思う。しかし、それでも人は自分が知っている製品を好むだろう」(Icaza)

 しかし、シアトルに住むエレクトロニクス関連コンサルタントのJim Richardsonは、大手ソフト開発企業のLinuxに対するサポートの有無は、彼のLinuxに対する情熱には全く影響しないと語る。「大手メーカーのソフトがないからといって不自由を感じたことはないし、必要だとも思わない。唯一の例外といえるPhotoshopについても、Adobeは間もなく(その顧客層を拡大する)絶好の機会を逃すことになるだろう」(Richardson)

 Linux流のジレンマ

 大半の大手アプリケーションメーカーにとって、Linuxアプリケーションは「ニワトリが先か、卵が先か」という状況にある。つまり、現在はLinux製品の開発を正当化するのに十分なユーザーベースが存在しないが、このまま人気アプリケーション不在の状況が続けば、Linuxのユーザーベースの成長は鈍化してしまう。

 その対策として、ソフトメーカー各社は、拡大するLinux市場への関心がどの程度をか測るため、多額の資金を投じることなく様々な試験的取り組みを行ってきた。Macromediaは最近、WindowsからLinuxへのエミュレータであるWineとの連携に最適化されたFlash開発ツールの販売を開始した。また、Corelも試験的に開発した同社の生産性ソフト、WordPerfectのLinux版を先月発売した。

 現在Adobeは、PDFファイル表示ソフト、Adobe ReaderのLinux版を提供しており、2年前にはレイアウトソフト、FrameMakerのLinux版も試験的に発売した。しかし、同社の広報担当によると、同社は顧客がLinuxアプリケーションを必要とし、市場が出来上がるまで各種のLinuxプロジェクトを凍結しているという。

 この問題について、Linuxの支持者らは楽観的だ。すでにLinuxには、パソコンで必要な基本的要素を全てカバーし、デスクトップ市場におけるLinuxの今後の成長を保証できるだけの十分な数のアプリケーションがそろっており、同OSの市場シェアについては全く心配いらないという。カリフォルニア州レッドウッドシティの開発者で、オープンソース団体OpenOffice.orgのコントリビュータでもあるGary Edwardsは、同グループの開発する生産性ソフトウェアやウェブブラウザのMozillaなど、Linuxで開発された完成度の高い数種類のアプリケーションで、大半のユーザーが必要とする基本的要素はカバーされると語る。

 「核(となるアプリケーション)はすでにOpenOffice.orgとMozilla.orgで揃っている。他のアプリは付け合わせみたいなものだ」(Edwards)

 Linux支持者らは、デスクトップ版Linuxもサーバ版と同様の発展経過をたどるものと予想している。当初は貧弱だったサーバ版Linux向けアプリケーションのラインナップも、データベースソフトのMySQLやウェブサーバソフトのApacheといったアプリケーションの登場で大幅に強化され、いくつかの重要なサーバ市場では、Windowsと同じか、あるいはそれをしのぐシェアを獲得している。デスクトップLinuxは今後も引き続き、サーバLinuxと同様の過程を経て、シェアを拡大していくものと予想される。その背景にはユーザーインターフェースの改善からアプリケーションの増加まで様々な要因があるが、いずれにせよ、最終的にはサーバ版のLinuxと同じ発展過程をたどることになるだろう。

 Linuxデスクトップアプリケーションにも、いわゆる「80-20ルール」が作用している。Perensは、「われわれは企業の従業員の80%を初心者ユーザーと分類している。彼らはLinuxがカバーしている極めて少ない種類のアプリでも満足できる人々だ」と述べ、さらに「企業内の80%の人々がLinuxデスクトップをそれぞれ与えられ、しかも機嫌も損ねないという段階にきている」と語った。

 またDe Icazaによれば、Linuxで開発された完成度の高いアプリケーションが基本要素をカバーしており、残りはいわゆるニッチなマーケット向けのアプリケーションだが、デスクトップLinuxが普及するにつれて、そのような市場への対応も進むことになるという。

 そこで、どの企業がそれらのニッチアプリケーション市場を席巻することになるのかが問題となる。ほぼ全ての重要なWindowアプリケーションにはLinux版の競合製品が存在する。しかし、それらのアプリケーションは完成度や使いやすさの点で、大きな開きがある。Photoshopに似たオープンソースのグラフィックソフトGIMP(GNU Image Manipulation Program)は、OpenOfficeとMozillaと並んで、「十分使い物になる」状態にあると考えられている。しかしGNUCashが、IntuitのQuicken帝国に挑むのは、まだ先のことかもしれない。

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