総務省消防庁は4月から、携帯電話・IP電話からの119番通報で位置情報通知システムの運用を開始する。通報者の位置を即座に把握し、消防車や救急車などの緊急車両の到着を早め、消化・救助活動の迅速化を図るのが狙いだ。
同システムは、第3世代(3G)携帯電話、およびIP電話・050で始まる番号を除いた一般電話からの発信が対象。ただし、番号非通知の184発信からの通知の場合には、原則として位置情報が取得されないが、消防本部が緊急に位置情報を必要とした場合には、位置情報を強制的に取得できる体制が取られる。
携帯電話からの通報の場合には、緊急通報を受信した基地局の所在地から算出された位置情報を事業者の位置通報サーバに通知。さらに、GPS対応端末の場合は、GPS測位による、より精度の高い位置情報が同様に通知される。一方、IP電話や一般電話からの通報は、住所、および氏名の契約者情報がサーバーに通知される。
次に、事業者の位置通報サーバに集積された情報は、IP-VPNによる、位置情報ネットワークで消防署と接続され、消防局の指令台に地図情報や文字情報として表示される仕組み。音声通話と位置情報の通知は別々のネットワークが構成され、それぞれ同時並行で通信が行われる。
運用の開始は4月1日。北海道小樽市など、全国41消防本部、受信区域79市区町村で導入され、2007年度中にも新たに48消防本部に拡大。以降、順次導入が進められる予定だ。
今回のシステムの導入は、総務省が2005年10月に携帯電話事業者に対して、緊急通報時の位置情報通知機能の導入を義務化する省令案を提出。2006年1月に『事業用電気通信設備規則』の改正省令が公布されている。
これを受け、1月10日、NTTドコモグループ9社、KDDIおよび沖縄セルラー、ソフトバンクモバイルの各事業者は、すでに「緊急通報位置通知」システムの採用を揃って発表し、4月1日からの施行に備えている。
同システムの導入は、外出先での利用が主流の携帯電話からの緊急通報に際して、ユーザーの土地勘のない場所での位置情報の把握を容易になる。また、雪山など、付近に目標物のない場所や、外国人からの通報など、緊急通報受理機関の迅速かつ確実な対応に貢献するシステムとして、効果が期待されている。
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