KDDIと日立製作所は9月27日、au携帯電話に装着し、日立が開発した非接触ICチップ「ミューチップ」の読み取りができる携帯電話用のミューチップリーダーを共同開発したことを発表した。流通業や製造業向けに、10月2日から1台8万4000円で提供する。
今回発表されたミューチップリーダーは、auの携帯電話に装着しミューチップにかざすことで、ミューチップの情報をBluetooth通信でau携帯電話へ伝送するというもの。携帯電話と同等のサイズまで軽量・小型化されたほか、GPSやカメラ、データ通信などと連携したソリューションの構築が可能になる。対応端末はBluetoothを搭載しBREWが動作するau端末すべてだが、今回提供されるアタッチメントに対応するのはW32Tのみとなる。
ミューチップには、それぞれに固有の128bitのID番号が書き込まれており、au携帯電話の画面上にこのIDと紐付けられた情報を表示したり、ネットワークを介してアクセスし、履歴を残すことなどが可能となる。
また、読み取ったミューチップの情報を、au携帯電話のGPS機能と連携させ、読み取った地点の位置情報を含めたデータを、サーバに登録するといった利用もできる。携帯電話と連動するため、LANなどのネットワークがない屋外でも利用できるため、さまざまな場所や場面、用途でのICタグ活用が可能になるという。
実際の利用例として紹介されたのは、線路脇にミューチップ内蔵の杭を打ち込んだレール敷設・保線管理システム。線路脇の杭をリーダーで読み取った際、携帯電話のGPS機能を利用して位置情報を付加した管理情報をサーバに送信することで、メンテナンス対象箇所の正確な特定が可能になるという。
日立では1個5円のRFIDを開発する経済産業省の「響プロジェクト」にも参加しているが、周波数帯がことなるため、今回開発したリーダーには対応しない機能しない。「900MHz帯を使う響プロジェクトのチップと2.45GHz帯を使うミューチップ両方を読めるリーダーを近いうちに提供していきたい」と日立製作所 情報・通信グループ トレーサビリティ・RFID事業部事業部長の井村亮氏は説明する。また、8万4000円という価格についても「個人の消費者としては高いと思う。将来は携帯電話を買うのと同じレベルの価格にしていくよう努力する」と語り、さらに海外展開についても示唆した。
KDDI技術統轄本部技術開発本部本部長の渡辺文夫氏は、日立と製品を開発した経緯について「ICタグ関連の技術開発はかなり前からやっている。その段階で実際に利用できるICタグにミューチップがあった。そこで日立と協力して技術開発をしてきた」と説明する。他のメーカーとの連携については「日立に限定するというものではないので、マーケットさえあればありとあらゆる可能性がある」とした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」