今後はeBayと共同で展開するサービスも検討している。その一例としてZennstrom氏は「Pay Per Call」と呼ばれる広告付きの通話サービスを挙げた。Pay Per CallとはいわばPay Per Click(クリック課金広告)の電話版で、サイト上に表示されたリンクをユーザーが押すとSkypeを使って広告主に電話できる。広告主は受けた通話回数に応じて広告費を支払う仕組みになっている。
eBayグループの一員となったSkypeだが、Zennstrom氏は「Skype自体は独立した会社として存在し続け、同じ製品を開発、サポートしていく」と話す。「(通話のあり方を変えるという)我々のミッションに変更はない」
このほかにも、新たなビジネスとして「Voice Content Marketplace」を立ち上げる計画だ。これはSkype上で、ユーザーやコンテンツホルダーが音声を使ったサービスやコンテンツを提供するというものだ。具体例としてZennstrom氏は、「別の国に電話をかけるときに、リアルタイムで第三者が通訳してくれるといったことが考えられる」と話した。なお、料金はSkypeの決済手段であるSkype Creditを使って支払う。
Skypeはユーザーの利便性を高めるため、対応機器を広げていく計画も持っている。なかでも注力するのが携帯端末への対応だ。すでにPocket PC対応のソフトウェア「PocketSkype」を開発しているが、今後は無線LAN対応端末や携帯電話向けのSkypeも展開していく予定という。「ユビキタスにSkypeが利用できるようにしたい」(Zennstrom氏)
カンファレンスの会場では、Skypeの新機能として開発中のビデオチャット機能をデモンストレーションしてみせた。同じ会場にいる相手との会話だったが、音声のタイムラグはなく、映像もほとんど途切れることなく通話できることを示した(写真)。
通信事業者のビジネスモデルを崩す存在として注目されるSkypeだが、Zennstrom氏は「我々は通信事業者ではない」と言い切る。あくまでも、インターネットを利用して通信ができるソフトウェアを提供する企業という位置付けだ。通信事業者でないため、050番などの番号が付与されないという問題があるが、これについては通信事業者と共同で事業を展開することで回避する考え。日本ではフュージョン・コミュニケーションズと提携し、12月19日からFUSION IP-Phoneのユーザーにかかってきた電話をSkypeで受けられるサービスのトライアルを始める。Zennstrom氏はフュージョン以外にもパートナーを増やしていく考えだとした。
写真:ビデオチャット機能では相手の映像を大画面表示することもできる |
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