ライブドアが10月1日に開始する予定の公衆無線LANサービス「D-cubic」は、はたして成功するのだろうか。野村総合研究所(NRI)は7月26日、同事業に関する試算を公表した。
D-cubicは初期費用1050円、月額525円の定額で使い放題の公衆無線LAN接続サービスだ(関連記事)。東京都の山手線内に2200カ所のアクセスポイントを設置し、順次エリアを拡大する計画を立てている。既存の公衆無線LANサービスに比べて利用料金が安く、エリアカバーも広いことから、注目を集めている。
NRIの調査によると、公衆無線LANサービスの有料利用者数は2005年3月時点で約10万人という。海外に比べて公衆無線LANサービスの利用者が少ないのは、PHSのデータ通信サービスを利用するユーザーが多いためだ。
現在PHSのデータ通信加入数は200〜250万件といい、これが潜在的な公衆無線LANユーザーの数だと情報・通信コンサルティング二部副主任コンサルタントの廣戸健一郎氏は話す。
では、ライブドアの「D-cubic」はこの状況を打破できるのだろうか。廣戸氏の試算によれば、D-cubicの初期投資は7億円で、6年で償却するとすると年間1億1700万円の費用負担となる。また、2200カ所のアクセスポイントの運営費を1カ所あたり月額5000円と想定すると、年間の運営費は1億3200万円となる。つまり、合計で年間2億4900万円の費用がかかるわけだ。
この費用を回収するには、約4万ユーザーを獲得する必要がある。「月額525円×12カ月×4万ユーザー=2億5200万円」となり、単年黒字が達成できる。しかしこれは現在の有料公衆無線LANユーザー全体の4割を獲得する必要がある。廣戸氏は「4万ユーザーの獲得は不可能ではないが、容易であるとも言えず、それなりにハードルは高い」と指摘した。
なお、ライブドアは無線LAN事業に関してYOZAN(7月1日に鷹山から商号変更)と提携すると発表しており、7月末までに本契約を締結する予定だったが、契約の締結期間を8月末まで延長した。YOZANが保有する基地局設置ポイントのうち、ライブドアがどこにアクセスポイントを設置するかについて選定を進めているが、その作業が難航しているためとしている。
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