マサチューセッツ州ボストンに拠点を置く新興企業が、Wi-Fi信号を使うことで、人工衛星を使用したGPSより正確に位置を特定するソフトウェアを開発したと発表した。
Skyhook Wirelessは米国時間20日、同社開発のWi-Fi測位システム「WPS(Wi-Fi Positioning System)」が商用で利用可能になったことを発表した。同社が開発したソフトウェアは、無線ルータから発信される、802.11の無線信号を使い、Wi-Fi技術を搭載したデバイスの位置を正確に検出する。同ソフトで検出可能なデバイスとしては、デスクトップPC、ノートPC、PDA、タブレットPC、スマートフォン、RFIDタグ(無線ICタグ)などが挙げられる。同ソフトは現在、アプリケーション開発者とデバイスメーカー向けに配布されている。
Skyhookは、特定の都市に設置されたすべての無線アクセスポイントの情報を集めたデータベースを作成した。同社は、このデータベースを作成するにあたり、実際に街中を車で走ることで802.11信号を「探知」するという方法を取った。WPSは、無線ルータを一意に識別するための番号を使って、これらのアクセスポイントの位置情報をデータベースに書き込んでいる。
Skyhookクライアントを稼働しているモバイル機器を持ったユーザーが街に出ると、同ソフトウェアはアクセスポイントのスキャンを行う。そして、受信した複数のWi-Fi信号をデータベースと比較することで、ユーザー位置を計算する。Wi-Fi信号の密集度が高い程、同ソフトウェアによるデバイスの位置測定の精度も向上する。
Skyhookの最高経営責任者(CEO)であるTed Morganは、位置の検出に人工衛星を使うGPSに比べ、WPSの方が正確だと述べた。
「GPSは、ミサイルの誘導を目的に軍が設計したものだ」とMorganは述べ、「そのため、人工衛星が建物により遮られる都市部においては、能力を完全に発揮できない。また、建物の内部もカバーできない」と続けた。
その上で、Morganは、GPSが数百メートル単位で対象物の場所を検出するのに対し、Wi-Fiを使用した位置情報システムでは、20〜40メートル単位で検出できると説明した。さらに、都市部において多くの場合、携帯電話のアンテナに比べ、Wi-Fiルータ同士の設置距離は短いため、移動体通信を利用した位置情報システムに比べ、Wi-Fiを使用したシステムは正確だと付け加えた。
Skyhookのソフトウェアが応用可能と思われる分野は非常に多い。たとえば、IP電話事業者にとって、同ソフトウェアは、位置情報サービスに関する連邦政府による命令である「E911」を遵守するための手助けとなる可能性がある。
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