iPodと同様、無償電話サービスのSkypeにも貪欲なサードパーティ開発者が群がり、その人気にあやかろうとするビジネスがいくつも登場している。
Skypeは、世界中どこでもブロードバンド回線を使って無料で通話ができるとのふれ込みで、サービス開始からわずか18カ月で約3100万人のユーザーを集めてきている。そんな同社は今、サービスをさらに拡充させるために、アドオンプログラムを構築するサードパーティーの開発者を集めたいと考えている。これらの追加プログラムが、さらに多くの顧客を呼び込み、願わくばSkypeを予想もしない新しい方向に導いてくれたら、というのが同社の考えだ。
Skypeが昨年暮れに、自らのプロプライエタリなソースコードをライセンスあるいは無償公開し始めてから、約1000人のプログラマーがこの機会に飛びつき、同サービス向けに数十種類の無償および市販製品を開発している。ソースコードの入手にあたっては、開発した製品を無償で提供するか、Skypeへ利益の一部を提供することが条件となる。
Skype広報担当のKelly Larabeeは、「Skypeは、自社ソフトウェアのポテンシャルを拡大し、世界中の開発者の創作意欲をかき立てるため、(ソースコードの)自由な提供を最優先とした。われわれは今後、このソフトウェア開発者向けプログラムを拡大し、正式なものにしていく」と述べている。
活発な開発者のコミュニティをつくりあげることは、ソフトウェアを長く存続させる過程において重要なステップだとされている。MicrosoftのCEO、Steve Ballmerは数年前、「Developers! Developers! Developers! Developers! Developers!(1にデベロッパー、2にデベロッパー、3、4がなくて5にデベロッパー!)」と社内行事で幾度となく繰り返し、Microsoft社員の頭にこの考えをたたき込んだ。この演説を撮したビデオがオンラインで広まり、すっかり有名な物笑いの種になったが、このメッセージに込められた真理に異論を唱えるものは1人もいなかった。
Skypeの開発者向けプログラムは、まださほど成果が上がっていないようだ。先頭に立っているのはVOIPail、Connectotel、Meinskypeといったあまり知られてない企業ばかりで、それぞれSkypeボイスメール、SMS、着メロを無償で提供している。
このほかには、Skypeを使い、有料で法律や医療情報を提供する相談窓口のほか、星占いなどの各種サービスの開発も進んでいる。Skype向けのPaypalスタイルの支払サービスもすでに開発済みで、これらのサービスで必要とされる少額決済の処理も可能となっている。また、Jyveという開発会社の作業が順調に進めば、Skypeが情報サービスや出会い系サービス分野においてBayのような役割を担う可能性もある。同社では、ウェブサイト運営会社がまさにこのようなトレンドを活かせるようなツールを開発している。
JyveのCEO、Charles Carletonは、「専門家がSkype回線を使って時間単位でサービスを提供する形がビジネスになると思う」と語っている。
Skypeは、自社のプロプライエタリなソフトを業界プラットフォームに変えるための取り組みを続けているが、サードパーティー製アプリケーションはこのために競争において大きな武器となる。競合各社の大半がオープンな標準ベースの技術であるSession Initiation Protocol(SIP)を利用しているが、これはインスタントメッセージやIP電話で利用されているもので、だれでも自由にライセンスすることができる。
一部のSIP支持者は、SkypeのソフトウェアがIP電話業界を分断し、標準や互換性を台無しにする可能性がある、として同社を非難している。この問題は、Skypeの開発者コミュニティが軌道に乗につれて、さらに深刻化すると考えられる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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