カリフォルニア州サンノゼ発--Googleの幹部が今週複数のインターネット電話サービスプロバイダに接触していることを、同社の事情に詳しい情報筋が明らかにした。Googleが急成長中のVoIP市場への参入を模索しているという憶測が飛び交っているが、この情報はこうした憶測を裏付ける証拠と考えられる。
「Googleはかなり熱心に、われわれの意見を求めてきた」と、あるインターネット電話サービスプロバイダの幹部は言った。この人物は、「Spring 2005 VON Conference & Expo」(VONカンファレンス)開催中に、当地で、Google幹部を多数のVoIP業界関係者と引き合わせる仲介役を果たしている。
今年のVONカンファレンスには6000人もの人々が集まり、同カンファレンスは全米最大規模を誇るイベントとなった。Googleからは9人の従業員が出席し、うち1人は製品マネージャのEric Sachsだったと、先の人物は述べた。Sachsは、無料インターネット電話サービスプロバイダFree World Dialupの創設者でVONカンファレンスの発起人でもあるJeff Pulverと、長年の親交がある。
Googleはこの件に関するコメントを差し控えた。
Googleはつい先月、VoIPにはあまり関心がないと発言している。VoIPは、インターネットへのブロードバンド接続を利用することで通話を実現する新しい技術だ。VoIPサービスは、既存の電話サービスよりも通話料が安いことから、ここ1年の間に急成長した。
先の人物の発言からは、本格的に立ち上がりつつインターネット電話ビジネスに、GoogleやYahooなどのウェブ検索ポータルも追随する意向があることが読み取れる。VONカンファレンスではVoIPに関するさまざまな発表が行われたが、この中でAmerica Online(AOL)も、VoIP市場に独自の電話サービスで来月参入する予定だと発表した。この動きがAOLのライバル企業であるYahooやMicrosoftのMSN、Googleも間もなく同様の発表をするのではという憶測を呼んでいる。
Googleにとって電話事業参入は初めての取り組みとなる一方で、AOL、Yahoo、MSNは既にインスタントメッセージング(IM)ソフトウェアやPCを利用した基本的な電話サービスを長期にわたって提供してきた。Yahooは昨年、大手電話会社BTの協力を得ながらPCベースの音声サービスを英国で立ち上げるなど、既にVoIPビジネスを展開している。Microsoftは企業向けIMソフトウェアに通話機能を搭載することを計画している。GoogleがVoIPビジネスを英国で提供し始めるという噂も流れている。
AOL以外のウェブ検索企業はどこもVoIPに関する戦略を発表していない。しかし、VoIPは無視できない存在になりつつある。調査会社Halpern Capitalの米国時間8日の発表によると、米国では毎月11万5000世帯が新たにVoIPサービスに加入しているという。同調査会社は、VoIPサービスへの加入世帯数が2008年には1600万世帯に達すると予測する。一方、およそ100年の歴史をもつ公衆交換電話網を利用する電話サービスの契約回線数は、1億1300万回線だ。VoIPサービスはソフトウェアをベースに構築されるため、サービスの開発や保守に関わる費用が安い。
VoIPへの参入は、消費者にとっては喜ばしいことだ。しかし、Yahoo、MSN、Googleにとっても同様かという疑問は依然存在する。YahooやMicrosoftにとって、音声サービスに多額の投資をすれば、通信会社との重要なパートナーシップを損ないかねないという問題が存在するためだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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