総務省は1月25日、「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会」の第7回会合を開催した。今回は1.7GHz帯の割当方針を中心に、構成員が意見を交わした。
総務省の見解では、2006年以降、東名阪地域(一部の地域を除く)では上下合計40MHz、全国的には同30MHzが携帯電話用に利用できる見込みという。1.7GHz帯をめぐっては、既存事業者のNTTドコモとボーダフォンが周波数のひっ迫を理由に割り当てを要求しているほか、新規事業者ではイー・アクセスが割り当てを求めている。また、ソフトバンクBBも800MHz帯を基本バンド、1.7GHz帯を補助バンドとして利用したいと要望している。
第7回検討会の様子 |
野村総合研究所 理事長の村上輝康氏は「イコールフッティングを重視するのであれば、2社に周波数を割り当てるべきではないか」と話す。日本経済新聞社 編集委員兼論説委員の関口和一氏も「1.7GHz帯はすべて新規参入事業者に割り当てるべき」とした上で、「新規参入は2社がよいのではないか。東名阪地域は各社上下20MHzずつ、全国的には1事業者が上下20MHz、もう1事業者が同10MHzとし、ローミングなどを行うことで不便さを解消するべき」と提案した。
既存事業者も1.7GHz帯の割り当てを要求していることについては、「需要増に応じて周波数を割り当てるべきだ。利用が進んでいない2GHz帯を再配分するとか、ガードバンドを新たに割り当てるといった案を検討してはどうか」(関口氏)とした。
法政大学経済学部 教授の黒川和美氏は「新規参入を希望する企業が多くいるのだから、できるだけ多くの企業が参入できる方法を考えるべきではないか」と指摘し、周波数の割り当てを受けた事業者にはMVNO(無線インフラを他社から借りることでサービスを提供する事業者)に開放義務を課することもありうるのではないかとした。
海外では香港で第3世代携帯電話用の周波数を割り当てる際、伝送網の30%を開放する義務を課している。日本ではPHSを利用したMVNOに日本通信があるが、携帯電話では実現していない。この点について総務省 移動通信課推進官の竹村晃一氏は、「総務省としてMVNOに関するガイドラインを作成している。義務化するということは規制となり、業界発展の妨げになる恐れがある」として、事業者間で決めることだとの認識を示した。
今回、総務省が周波数の割当案を固める前に検討会を開いたことについて、総務省 総合通信基盤局長の有冨寛一郎氏は「初めての試みだったが、各社の代表から意見を聞くことができ、論点が明確になった。いい機会が持てた」と感想を述べた。今後は検討会の答申をもとに、総務省が割当方針を決めることになっている。
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