最終更新時刻:2008年5月23日(金) 0時00分

2004年総集編--定額制と新規参入で変わる携帯電話業界

永井美智子(CNET Japan編集部)

2004/12/30 10:01  

 2004年の携帯電話業界は第3世代携帯電話(3G)が普及期に突入。データ定額制の導入により、音声収入の減少を支えていたデータ収入の伸びも見込めなくなった。通信事業者は新たな収益モデルの立ち上げを模索する。一方で、総務省は番号ポータビリティの導入を進めるべく、ガイドラインを作成。さらに新規参入を狙う事業者が登場するなど、携帯電話業界は新たな局面を迎えている。

主戦場は2Gから3Gへ

 「主戦場は3G」--12月1日にボーダフォン代表執行役社長兼CEOに就任した津田志郎氏のこの言葉が、2005年の携帯電話市場をよく表しているだろう。

図1.携帯電話事業者4社の累計契約件数の推移(電気通信事業者協会(TCA)のデータをもとに作成)
NTTドコモが900iシリーズを発売し、3G市場で独走するauを追撃する態勢を整えた。auはCDMA 1X WINで新サービスを打ち出し、ヘビーユーザーの取り込みを狙っている。ボーダフォンは冬モデルに世界標準規格を採用した端末を投入して「世界で使える端末」というブランドを構築するともに、NTTドコモの社長候補と言われた津田氏を社長に迎えてシェアの巻き返しを図る。

 携帯電話事業者4社の累計契約数の推移を見ると、ドコモ、auともに2Gの契約数が減り、代わって3Gが伸びていることがわかる(図1)。 2004年11月末時点の3G契約者数はドコモが前年同月比4.6倍の756万件、auが同1.4倍の1644万件となっている。ボーダフォンの3G契約者数は11月末時点で29万件と少なく、他社に比べて3G端末の投入が遅れたことが響いている。

図2.4社の純増数の推移(電気通信事業者協会(TCA)のデータをもとに作成)

 純増数はauとドコモが首位を争う展開が続いた(図2)。一方で、ボーダフォンは割引通話プラン「ボーダフォンハッピータイム」の変更による市場の混乱などがあり、契約数が伸び悩んでいる。2Gに特化しているツーカーは累計契約数が前月を下回る月が続いていたが、「説明書がいらないくらいカンタンなケータイ」をコンセプトとして開発された液晶画面のないツーカーSが好調で、11月には純増に転じた。

 各社の業績を見ると、ドコモの2004年度売上高は4兆4520億円となる見込みだ(図3)。KDDI(auとツーカーの合計値)の2兆2810億円、ボーダフォンの1兆5310億円に比べて抜きん出た数値と言える。ただし、前年比で見るとドコモは前年比4.5%減、ボーダフォンは同7.5%減と予測するのに対し、KDDIの予想値は同8.5%増となっており、KDDIの好調さが見て取れる。

定額制というパンドラの箱を開けた3社

図3.各社の2004年度売上高と営業利益、ARPUの比較(通期はいずれも予想値)

 3Gの契約者数が伸びている理由としては、高速データ通信ならではの新サービスが始まったことが挙げられるが、データ定額制の導入が後押しした側面もある。口火を切ったのはauで、昨年11月に下り最大2.4MbpsのCDMA 1X WINでデータ定額制を始めた。NTTドコモは6月よりFOMAのすべての端末で利用できる「パケ・ホーダイ」を導入。3Gサービスの導入が遅れていたボーダフォンも、冬モデルの投入に合わせて「パケットフリー」という名称で定額制に参入した。

 しかしデータ定額制は、NTTドコモ 常務取締役 プロダクト&サービス本部長の榎啓一氏の言葉を借りれば「パンドラの箱」だ。データ通信料が増えても収入は増えず、逆に設備投資がかさむという逆説的な展開が待ち受ける。そこで各社はデータ通信料以外の新たな収益源を模索する道に出た。

 1つはリッチコンテンツの販売だ。auは通信量の少ない早朝や夜間に動画コンテンツを配信するEZチャンネルや、楽曲を1曲まるごと配信するEZ着うたフルなど、新たなコンテンツの提供を始めた。着うたフルはサービス開始から約3週間でダウンロード数が30万件を超えるなど、順調な滑り出しを見せている。同社によれば、「CDMA 1xユーザーに比べてCDMA 1X WINの定額ユーザーが利用する有料コンテンツの金額は2倍以上」という。

 ボーダフォンはパソコンでダウンロードしたコンテンツを、携帯電話を使って視聴するVodafone live BB!というサービスを開始した。ドコモは公式サイトの課金方式に個別課金を導入し、月額利用料金の上限を300円から500円に引き上げている。

 ほかにもauのフルブラウザ搭載端末や、ドコモのテレビ電話など、定額制の範囲に入らない通信データの量を増やす取り組みも進められている。

FeliCaはドコモの新しい収益源となるか

 ドコモは通信ネットワークを利用しない形で収益を上げる方法も模索している。昨年10月にはソニーと共同で、非接触ICカード技術「FeliCa」を搭載した携帯電話機を利用したサービスの基盤作りを行う「フェリカネットワークス」を設立。今年夏には「おサイフケータイ」という名前で、大々的にFeliCa搭載端末を売り出した。

 サービス開始から約5カ月で対応機が100万台を突破しており、順調なスタートを切ったと言える。2005年度以降のFOMA端末には標準でiモードFeliCaを搭載する計画だ。

 ただしiモードFeliCaがどれだけドコモの収益に貢献するかは未知数だ。NTTドコモiモード企画部長の夏野剛氏は「FeliCa ICチップが各企業や他社の携帯電話に採用されれば、その一部は(フェリカネットワークスの株式を保有する)ドコモに還元される」と説明する。ライバルのauもFeliCa搭載端末を2005年秋にリリースし、2006年度以降はWIN端末に標準搭載する計画があるためだ。また、海外でも採用されればそれだけ収入に結びつく。しかし現時点では利用者の解約率を引き下げる効果を狙うとしている。

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