ソフトバンクが携帯電話事業への参入に向け、本格的に動き出した。
ソフトバンクBBは9月6日、総務省が行っている携帯電話向けの周波数帯(800MHz帯)の割当方針に関して同社のパブリックコメントを発表した。800MHz帯の再配分を受け、携帯電話事業に参入する意向だという。
総務省は、携帯電話で利用できる電波を増やすため新たに815〜850/860〜895MHzの周波数を第3世代携帯電話(IMT-2000)に割り当てることを決定し、割当方針案を作成した。今回の案では、NTTドコモとKDDI/沖縄セルラーにそれぞれ15MHzずつ割り当てるとしている。
ソフトバンクは総務省に対し、パブリックコメントを提出した。内容は大きく3つ、
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ソフトバンク・グループ代表でソフトバンクBB代表取締役社長兼CEOの孫正義氏 |
ソフトバンク・グループ代表でソフトバンクBB代表取締役社長兼CEOの孫正義氏はまず、今回発表された原案について「総務省に確認したところ、NTTドコモとKDDIの2社に割り当てるという内容は審議会の正式な審議を経たわけではなく、総務省の担当者が作成したようだ」と指摘。さらにパブリックコメントの募集についても、「弊社の担当者が総務省のサイトを見ていて、たまたま発見した」として、国民への周知が不十分だと話す。「国民の財産である電波の割り当てには、十分な審議が必要なはずだ」(孫氏)
さらに今回割当の対象となった第3世代携帯電話(IMT-2000)は本来2GHz帯でまかなうものであり、ドコモやKDDIは現在割り当てられている周波数帯を使いきってはいないとも孫氏は話す。「2003年にガードバンドと呼ばれる、割当を見合わせている2GHz帯の周波数を事業者に割り当てるという話があった。そのとき我々は意見書を二度出したが却下され、既存事業者に周波数が割り当てられた。今度は2GHz帯で断られた我々が割当を受けて当然だ」
「今持っている周波数を使いきれていない事業者がまた周波数をもらうというのは、能率的に周波数を利用するという電波法の趣旨に沿わない。新規参入者であれば今すぐに設備を設置し、周波数を活用することができる」(孫氏)
特に800MHz帯は携帯電話で利用している他の周波数帯と比べ、電波の到達距離などの面でアンテナ網などの設備投資が安く済むことから、既存事業者と公正な競争を行うためにも新規事業者に割り当てるべきだとした。
携帯電話事業に「足りないのは電波だけ」
孫氏によると、ソフトバンクではすでにバックボーンの構築、基地局の土地を確保しており、「足りないのは電波だけ」という。もし周波数を割り当てられ、基地局免許が交付されれば、その時点から数えて1年半〜2年半後にはサービスを開始できる予定とのことだ。「当然価格も安くなるだろう。さらにIP時代ならではの新しいサービスを提供できる」(孫氏)
今回、ソフトバンクでは上下回線合わせて30MHz幅の取得を狙っているという。もしこれが実現すれば「1000万〜2000万人のユーザーを収容できる」と孫氏は自信を見せた。
ソフトバンクではTD-CDMAと呼ばれる新方式でも実験を行っているが、「新しい技術であり、音声サービスを提供するには時期尚早であると判断した」(孫氏)。これに対し、CDMA2000/1xの実験はすでに終了し、「すぐにでも参入可能な技術」(孫氏)と確認したとのことだ。
同社では3日、同社のサイトやEメールを通じ、Yahoo! BBユーザーに対して総務省にパブリックコメントを寄せるよう呼びかけた。また、6日には同様の内容を載せた意見広告を新聞に掲載している。
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