Cisco Systemsは25日(米国時間)、大手通信事業者向けの新型ハイエンドルータを発表すると見られている。同社はこの製品により重要な市場で競合他社への優位性を保ちたい考えだ。
Ciscoに近い情報筋によると、「HFR」(Huge Fast Router)という開発コード名で呼ばれていたこの製品は、同社の20周年記念イベントで披露され、同時に「CRS-1」(Carrier Routing System-1)という正式な製品名も発表されるという。
この新型ルータは、膨大な量のインターネットトラフィックを扱う通信事業者のネットワーク向けに設計されており、クラスタ化して1つのルータとして機能させることが可能だ。これは次世代型ルータを特徴づける機能の1つで、Ciscoがこの機能を備えたルータを開発したのは今回が初めて。
CiscoはCRS-1の開発に4年の歳月を費やしたが、その間、詳細については沈黙を守り、それどころか製品の存在すら否定し続けてきた。この記事についても、同社はコメントを避けた。
派手な宣伝と秘密主義を使い分けたCiscoの巧妙な売り込み作戦にも関わらず、CRS-1はすぐには同社の業績向上に貢献しないと見られている。そのため、Ciscoと競合するJuniper Networksなどの大手企業やAvici Systemsなどのより小規模な企業にとっては、市場シェアを獲得する時間がさらに増えることになる、とアナリストらは指摘している。
CiscoがCRS-1で大幅な収益拡大を図れるのは1年以上先だろう、と語るのは、調査会社Infonetics Researchの業界アナリストKevin Mitchell。同氏はその理由の1つとして、CRS-1には新たに設計されたオペレーティングソフト(OS)が使用されていることから、テスト期間が延びる可能性が高い点を挙げた。また、CRS-1の初期版では、IPv6(Internet Protocol version 6)やMPLS(MultiProtocol Label Switching)のフルサポートなど、いくつかの重要な機能が搭載されない可能性もある。
それでも専門家らは、CiscoによるCRS-1の発表を、同社にとって重要かつ必要な前進と見ている。
「CiscoがJuniperと対峙しながらルータ市場で生き残っていくためには、ハイエンドルータが必要だった」と語るのは、CIBC World Marketsの株式アナリストStephen Kamman。「(Ciscoが)新たなコアルータを必要としていたのは、新たな収入源を得るためではなく、既存顧客からの収入の維持に役立てたかったからだ」(Kamman)
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