NTTドコモは5月11日、デジタル放送の視聴が可能な携帯電話端末の試作機を発表した。同日より東京ビッグサイトで開催されているビジネスショウTOKYO2004にて展示を行っている。テレビ番組に付与されたメタデータ(番組に関する情報)を利用して、効率的に好きな場面だけを見ることを狙っている。
この端末を開発したのは「OnQプロジェクト」という社内プロジェクトチーム。OnQ(on cue)とは「きっかけ」という意味で、「テレビ番組をきっかけに携帯電話を利用したり、携帯電話をきっかけにテレビ番組を見たりすることを狙っている」と同社では説明する。「目標はテレビの視聴スタイルを変化させること」(同社)といい、日常的に携帯電話でテレビを見てもらうための方策を検討しているそうだ。
OnQプロジェクトの試作機 |
今回発表された端末は、サーバ型放送と呼ばれるデジタル放送に対応する。サーバ型放送とは、放送番組をホームサーバに蓄積させ、視聴者が好きなときに番組を見られるようにするもの。「何時何分から○○というコーナーが始まる」といったようなメタデータを利用すれば、見たいシーンだけを見ることが可能になる。
2003年2月にメタデータやセキュリティ技術に関する規格が完成しており、現在は関係各社が事業化に向けて検討を進めている段階だ。NTTドコモはTBSやNHKと共同で開発を進めているといい、今回の展示は「サーバ型放送に関するNTTドコモの取り組みを知ってもらうためのもの」(同社)としている。
クレードルがHDDレコーダーに
NTTドコモが想定している視聴方法とは、自宅のHDDレコーダーなどに保存された映像コンテンツをSDカードなどで携帯電話に移し、メタデータのみを同社の回線を利用してダウンロードするというものだ。今回発表された試作機にはHDD内蔵のクレードルがついており、これがHDDレコーダーとして自動的にコンテンツをためる役割を果たすという。
メタデータはユーザーが自分で作ることもできるため、自分の好きなシーンのメタデータをユーザー同士が交換するといったことも考えられる。また、配信された有料コンテンツを見るための「鍵」だけをドコモの回線を使ってダウンロードするという方法も検討しているとのことだ。
端末の設計・開発はリーディング・エッジ・デザイン(L.E.D.)というデザイン会社と共同で行った。L.E.D.はNTT東日本のSuica対応改札機のデザインなどで知られる。エラーを起こさずにSuicaを読み取れるよう、読み取り部分に角度をつけたデザインを開発した企業だ。
試作機は折りたたみ式で、ディスプレイ部分は90度に回転する。これにより横長の映像でも視聴しやすくなっている。また中央部の操作ボタンはスクロール操作でき、番組のチャンネルを選んだりするときに片手で操作しやすい形状になっている。
端末の具体的な発売時期などは未定。サーバ型放送が始まるのを待つ必要があり、「早くても2005年以降になる」(同社)という。
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