ワイヤレスLANとインターネットベースの電話は、ここ1年で、企業向けの最も注目度の高い新しい技術となっているが、ここにきてベンダー各社は、企業がこの2つの技術を組み合わせるのに役立つという製品を発表している。
「Wi-FiとVoIPは、それぞれ単体でも充分強力な技術だ。しかし、この2つを一緒に利用すると、はるかに強力なものになる。1+1が3になるようなものだ」と、Infonetics ResearchでワイヤレスLANを担当するアナリストのRichard Webbは述べている。
機器メーカー各社はこれらの市場を別々に狙っているが、これまでのところ、採用はあまり進んでいない。818社を対象にForrester Researchが実施した調査によれば、Wi-FiもしくはワイヤレスLANを導入済み、または導入過程にあると答えた企業は、全体のわずか20%に過ぎなかったという。同様に、VoIPシステムに関しても、導入済みまたはその過程にある企業は15%しかなかった。
専門家たちは、この2つの技術を組み合わせることで相乗効果が得られるという点で、意見が一致している。その結果、機器メーカー各社は、製品ラインの強化に着手している。いずれも音声市場の有力メーカーであるAlcatelとNortel Networksは米国時間1日、新しいワイヤレス製品を発表した。
Alcatelは、同社が新興企業Airespaceのワイヤレススイッチ、機器およびアクセスポイントを再販すると発表した。これらの製品は、Alcatel OmniAccessブランドの下で販売されることになる。Alcatelによれば、これらの機器はいずれもInstitute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって承認された802.11iセキュリティ規格に準拠しているという。同規格は、ワイヤレスネットワーク上で送受信されるデータに強力な暗号化技術を提供するもの。
Alcatelはまた、これらの製品が802.11a/b/g規格もサポートすることになるとしているが、この規格はセキュリティと処理能力を改善するとともに、より高速なスループットやVoIPも可能にすると期待されている。なお、IEEEによる802.11a/b/g規格の承認は、今年の夏になると見られている。
さらに、Alcatelは今年の10月から、SpectraLinkからワイヤレスLANハンドセットの提供を受け、これを再販する計画があると発表した。これらのハンドセットは、802.11b規格に準拠し、Alcatel OmniPCX製品ラインの一部であるIP-PBXの機能を拡張したものとなる。
一方、昨年からすでにワイヤレススイッチ製品を販売していたNortel Networksでは、米国時間1日に2210および2211ワイヤレスハンドセットを発表した。Alcatel同様、同社もハンドセット技術の分野でAirespaceやSpectraLinkと提携している。
専門家の話では、VoIPとWi-Fiの組み合わせは、至って自然なものだという。企業各社が、従業員のコミュニケーションにさらに柔軟性をもたらす、共通のインフラを求めているからだ。たとえば構内ネットワークにおける貴重な帯域幅など、企業ユーザーにとって、Wi-Fi経由のVoIPには大きなメリットがある。さらに、携帯キャリアの多くでは、鉄筋作りの建物の内部に電波が届かないため、Wi-Fi電話のほうが音質と信頼性の部分で勝るとの利点もある。また、とりわけ医療分野のような垂直市場では、携帯電話が使えないことから、この点でもWi-Fi経由のVoIPが期待されているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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