PCライクなOSを搭載したフル機能の携帯電話機の売上が急増しており、またLinuxはこの市場の新たに登場してきた有望な勢力となっている。
市場調査会社のZelos Groupは26日(米国時間)、今後2年間で、Microsoftがスマートフォン向けソフトウェアメーカーのSymbianと、同市場で激しいトップ争いを演じることになるとの予測を発表した。だが、長期的には、同社のシェアは限られたものになるとZelosは述べている。Windowsブランドのプレミアムを求め、また携帯電話用に自社のプロプライエタリな標準を推すことが普及の足かせになるというのが、その理由だという。
Zelosでは、Windowsベースのモバイル機器は今年少なくとも500万台出荷されると予測しているが、Microsoftが目標とする2007年までに1億台の出荷は難しいかもしれないという。
「Symbianは、ソフトウェアのライセンス条件が柔軟なため、Microsoftに勝っている」と、Zelosのシニアアナリスト、Seamus McAteerは声明の中で語った。「自社ブランドの使われ方を厳密に管理しようとすればするほど、Microsoftのシェアは伸び悩むことになるだろう」(McAteer)
一方、Linuxの長期にわたる見通しは有望だと、Zelosは述べた。ビジネス的な実現性、完全性、コスト、エンドユーザーへの訴求力、オープンさという、5つの基準を考慮すると、メーカーとキャリアが特に気にするオープンさと低コストという2点で、Linuxは最高の評価を得ている。これに対し、Microsoftは、これらの項目で最低となっている。
McAteerによると、いわゆるフル機能型携帯電話機(full-feature handsets)は、Palm、Linux、Windows MobileなどのOSをベースにしているため、Qualcommのワイヤレス向けバイナリ型ランタイム環境やSun MicrosystemsのJavaを利用して、電話機のソフトウェアのアップグレードが容易に行えるという。同氏は、現状すべての携帯電話が初期の世代よりも高性能であることから、「スマートフォン」(smart phone)という表現を用いるのを避けている。
Zelosによると、フル機能型携帯の価格が、通常の携帯電話の平均価格138ドルをわずかに上回る157ドル程度になれば、2006年には販売台数でPCを上回るという。また2008年には、フル機能型携帯の出荷台数は約2億9000万台まで上昇し、世界の携帯電話販売の43%に達することになる。
こうした流れは、ワイヤレス、個人向け電子機器、コンピュータなどの分野で、破壊的な変化を引き起こす可能性がある。消費者がPDA、デジタルカメラ、ゲーム端末、音楽プレーヤーなどの携帯機器の代わりに、フル機能型携帯を使うようになるからだ。この最初の兆候はすでに現れ始めており、Nokiaは現在デジタルカメラのトップベンダーになりつつあると、Zelosは指摘している。
この変化、ソニー、Apple Computer、任天堂、Hewlett-Packard(HP)、カシオなどの各メーカーに影響を与え、自社の特定用途向け機器にWAN接続のような機能を付与させることになりそうだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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