有力なITベンダーおよびサービスプロバイダ各社が手を組み、家庭内の既存のケーブルを使って、さまざまな家電製品を単一ネットワークに接続できるようにする技術を推進しようとしている。
新生の業界団体、Multimedia over Coax Alliance(MoCA)は7日(米国時間)、ラスべガスで開催されるConsumer Electronics Show(CES)で、正式に設立を発表する。設立メンバーに顔を揃えているのは、ネットワーク大手の米Cisco Systems、ケーブルプロバイダの米Comcast、サテライトプロバイダの米EchoStar Communications、半導体メーカーの米Entropic、小売業者の米RadioShack、家電メーカーの松下(Panasonic)、米Motorolaと東芝だ。
MoCAの狙いは、いくつかの規格を開発し、TV、デジタルビデオレコーダやPCのような、さまざまな家電製品の間で、高品質の動画や音声、データをやりとりするために、同軸ケーブルの使用を促進することだ。同軸ケーブルは、米国の何百万もの世帯ですでに利用されており、ケーブルテレビや、場合によってはブロードバンドインターネットアクセスも提供している。
同団体の最重要課題の1つは、さまざまなメーカーの機器をユーザーが簡単に接続できるような、一連の規格を開発することだ。
「今のところ、同軸ケーブルを使ってコンテンツを配信するための規格はひとつもない。ユーザーの期待に沿った形で、さまざまな製品を相互に動作させるには、何らかの標準化が必要だ」と、ComcastホームサービスエンジニアリングのディレクターでMoCAバイスプレジデントのMark Franciscoは述べている。
家庭内ネットワークの構築が、今回のCESで最も注目を浴びる話題になることは間違いない。CESでは大小さまざまな企業が、いわゆる「デジタルホーム」向けの製品を宣伝し、共通の高速データネットワークを介して各種デバイスが通信できるというビジョンを描くだろう。
たとえば、デジタルビデオレコーダは、通常1台のテレビでしか再生できないが、デジタルホームが実現すれば、保存したビデオを複数のテレビに配信できるようになる。つまり、ある部屋で録画した映画を見ている時に、ポーズボタンを押して、残りを別の部屋のテレビで見るといったことが可能になる。
このようなネットワークを実現するのは同軸ケーブルだけではない。すでに企業ネットワークで利用されているイーサネットケーブルは、代替になりうる選択肢の1つだ。また、デバイスのワイヤレス接続を可能にするWi-Fiも選択肢となり得る。さらに、家庭にある電気の配線を通してデータを配信するという方法もある。
こうした選択肢には、それぞれ解決すべき課題がある。例えば、イーサネットが配線済みの家庭は多くなく、またWi-Fiネットワークは信頼性に問題が残っており、さらに電力線では限られたスループットしか得られない。
そうした理由から、MoCAの設立メンバーのなかにさえ、未来の家庭では、これらのネットワーク技術が混在することになりそうだという企業もある。たとえば、3、4室を結ぶネットワークのバックボーンとして同軸ケーブルを利用し、それぞれの室内ではWi-Fi接続で複数のデバイスをつなぐことになるかもしれない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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