NECは携帯型の無線IP電話端末を開発した。これは無線LANソリューションの一環として提供されるもので、同社が提供するIP-PBXサービスと組み合わせて利用する。
NECが10月29日に発表したのは、無線VoIP対応に対応した企業向け無線LANソリューション。無線コントローラー「WL2000シリーズ」、IEEE802.11a/b/gに対応したアクセスポイント「WL1200シリーズ」、管理ソフトウェア、音声通話用の携帯端末で構成される。米Airespaceと共同で製品化したもので、同日より提供を開始している。
携帯端末はIP-PBX用の電話機として利用する。他の電話機と同じく内線番号を割り振って通話を行い、外線との通話も可能という。端末は音声通話のみの機種と、ウェブブラウジングとメール機能を備えた機種の2種類を用意する。ただし音声通話用携帯端末の販売は、北米では2004年1月、国内では2004年春となる予定。その後アジア太平洋地域などにも販売地域を拡大するという。「無線VoIPを導入することで内線電話配線の敷設や維持が不要となり、全般的なコスト削減が可能になる」(NEC)
携帯型の無線IP電話端末。ウェブブラウジングとメール機能を備えた機種(左)と音声通話のみの機種(右)がある。 | |
今回発表された端末は、米Airespaceとの協業により端末のバッテリー制御機能を高めた点が特徴だ。端末の待受時間は「従来は30時間程度だったものが、100時間から120時間になった」(NEC)という。
無線LANソリューションは、音声通話に対してQoS機能や音声通話を優先的に制御する機能、アクセスポイントの高速切り替え機能などを備え、音声の品質を確保した。その他、周辺電波のモニター機能やアクセスポイントの出力を自動的に調整する機能を備えており、1カ所のアクセスポイントに故障が発生した場合は近くのアクセスポイントが自動的に出力を高めることで無線LANの継続稼動を可能にした。
セキュリティ機能としては、不正アクセスポイントを自動的に検出し、通信を不能にする「不正アクセス自動検出機能」を備えている。IPsecに対応することでセキュリティを高めているほか、アクセスポイントの負荷を自動的に分散して無線帯域の有効活用を図る機能も備える。
同無線LANソリューションの国内価格は、240クライアントの場合307万円から、2400クライアントの場合2484万円からとする。出荷開始時期は11月28日の予定。NECでは企業のほか病院やホテル、大学等での利用を想定している。北米では、2003年11月より同社の米国法人NEC Americaが販売活動を開始する。さらにシンガポール、香港、タイ、マレーシア、台湾、韓国などアジア大洋州地域での販売も順次始めるとしている。
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