野村総合研究所(NRI)は14日、ノートパソコンやPDAでのモバイル通信における通信時間の短縮およびパケット料金の削減が可能な通信ミドルウェア「Mobiletune」を開発、11月より発売すると発表した。同社CDNプロジェクト室事業開発グループマネージャーの森本教稔氏は、「Mobiletuneを導入することで、パケット料金が最大80%まで削減することが可能」としている。
Mobiletuneは、モバイル通信で「思ったようにスピードが出ない」「移動中に通信が遮断され、何度も再受信する必要がある」「パケット料金がかさむ」といった悩みを解決するために開発されたもの。従来のモバイル通信基盤は有線のLAN/WAN技術がベースとなっているが、Mobiletuneでは、モバイルネットワーク用に最適化されたMobile-UDP(User Datagram Protocol)技術と、リクエストを束ねて処理する機能やデータ圧縮機能を備えたBindingコンテンツ圧縮技術という、同社が独自開発した両技術を組み合わせ、安定した高速通信環境を実現するという。
「これにより、ウェブのアクセスやメールの送受信時間を約半分から最大10分の1にまで短縮することが可能だ。また、セッション維持機能を備えているため、移動中に基地局の切り替わりがあった場合や、トンネルなどの障害物によるリンク切断が発生しても再接続時に継続して受信することができる。これら機能で無駄な通信パケットを最大80%削減することができる」と森本氏。さらにMobiletuneでは3DESの暗号方式に対応しているほか、市販のIPSec VPN製品と組み合わせて利用することも可能で、セキュアな通信が可能となっている。
NRI CDNプロジェクト室事業開発グループマネージャー、森本教稔氏 | |
森本氏は、「例えば3000人〜5000人規模でモバイル端末を導入している企業の場合、月額パケット費用は1000万円にものぼる。これを独自プロトコルによるパケット削減効果を約10%とし、コンテンツ圧縮効果を約30%として試算した場合、1年間で4800万円のコスト削減が可能だ」としている。
Mobiletuneはアプリケーションの変更が不要で汎用的に使えるため、「幅広くターゲットを想定している」と森本氏。業務用の専用端末やPC端末をはじめ、カーナビゲーションシステム、飛行機などでのインターネット接続サービス、各サービスプロバイダの高速コンテンツ配信などにも適応することができる。なお、現段階での具体的な計画は未定だが、携帯電話本体に同技術を組み込むことも「技術的には可能」とのことだ。
Mobiletuneの初期導入ライセンス費用は、1サーバにつき最小構成で400万円から。クライアントに対しては、Windows PC版が無償となっている。NRIでは、関連ビジネスを含めた初年度の売上げを約10億円と見込んでいる。
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