野村総合研究所(NRI)とNRIデータサービスは30日、インテルと合同で記者会見を開催し、両社がインテル協力の下、企業向け無線LANに関する実証実験を実施、企業ネットワークにおける無線LAN環境の設計・運用メソッドを確立したと発表した。既に一部の大手金融機関では、今回確立した無線LAN環境の設計メソッドをベースに、評価導入プロジェクトを開始しているという。
野村総合研究所 事業戦略コンサルティング部 副主任コンサルタントの高橋主氏は、企業内無線LANの導入促進を阻害するハードルとして「無線LAN特有の設計・構築ノウハウやセキュリティの確保が必要であること、効率的な運用管理方法を見出す必要があること、導入効果や費用対効果が不透明であること」などをあげている。これら悩みを解決するためNRIとNRIデータサービスでは、主に性能(一定時間内での処理能力)面とセキュリティ面について、実際の企業オフィス環境内での利用を想定した無線LANの実証実験を行った。
具体的には、電波伝送距離の相違、各種アプリケーション利用時の性能、移動時の性能、製品間の相互接続、電波干渉性などについて、様々に条件を変えて無線LANの有効性を検証。実験の結果、無線LANのパフォーマンスの優劣は、無線LANのアクセスポイントの配置が非常に重要であり、それに対する配慮を十分に行うことで、性能とセキュリティの確保が必須条件である企業内ネットワークインフラとして無線LANは有効であることが明らかになったという。今回の実験を元に、NRIデータサービスでは基盤診断や環境アセスメントなどで安全な無線環境を保証し、運用やメンテナンスまでをサポートする「セキュア・ワイヤレスソリューション」を提供開始するという。
野村総合研究所 事業戦略コンサルティング部 副主任コンサルタント、高橋主氏 | |
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NRIの高橋氏は、「国内無線LAN機器市場は2002年、価格の低廉化やノート型PCの増加で対前年比12.2%から73.3%まで成長したが、これは家庭やSOHO向け製品が主だった。2003年は期待されていた企業向け市場の立ち上がりが遅く、市場の成長は鈍化したが、2004年以降は大きく成長するだろう」としている。「特に有線LANの導入が困難であった生産現場や店舗、医療現場、営業現場などでの採用が進む」と高橋氏は見ている。
なお、今回の実証実験においてインテルは、Centrinoモバイルテクノロジーを含む無線LANプラットフォームを提供、規格標準化に関する情報提供を行った。インテルでは自社内でも無線LANを導入、セキュリティへの取り組みとして擬似ハッキングなどを行い、WEP(Wired Equivalent Privacy)の使用やVPN(Virtual Private Network)の実行、二次認証などの防衛手段を実践している。同社プラットフォーム&ソリューションズ・マーケティング本部長の町田栄作氏は、これらの試みを元に近い将来インテルから独自の無線LANソリューションが提供される可能性があることを示唆した。
NRIでは、実証実験を元に「実オフィス環境下における企業内無線LAN環境の有効性評価」と題したホワイトペーパーを発行、60ページに渡って無線LAN環境の有効性や実証実験のシステム構成、実験結果などを掲載している。NRIデータサービス基盤プロジェクト部上級テクニカルエンジニアの向山洋司氏は、「セキュリティ技術や標準技術の進展を待ってから無線LANを導入するよりも、できるだけ早い段階から導入に踏み切り、ノウハウを蓄積していくとよい」とコメントした。
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