Wi-Fi裁判で、オープンアクセスポイントの扱いが焦点に

 米Time Warner Cableは先頃、顧客企業2社が利用規約に反し、Wi-Fiを使ったブロードバンド接続を再販したとして、両社を相手取った訴訟を起こした。この裁判で注目を集めている、いわゆるオープンアクセスポイントをどう扱うかという問題を巡り、ブロードバンド業界が割れている。

 Time Warnerの高速インターネットサービス事業部門であるRoad Runnerは最近、加入者が自分のアカウントへのアクセスを転売することを禁じた利用規約に違反したとして、iNYC Wirelessと、居住用アパートを所有するLondon Terrace Towersの2社を提訴した。Wi-Fiの専門家たちは、この種の初めてと思われる今回の裁判を、単なる「契約違反」を巡る争いであり、何ら法的な前進は見られないだろうと指摘する。この裁判ではブロードバンドの利用規約に注目が集まったが、大抵この種の規約には、何ら拘束を受けない自由なWi-Fiの利用を敵視する内容の条項が盛りこまれている。

 ブロードバンドプロバイダの多くは、加入者によるオープンなWi-Fiアクセスポイントの運営を阻止しており、過去にRoad Runnerも同社の顧客に対し、権限のないユーザーに彼らのアカウントを利用させないよう要請する書簡を送付した。一方EarthLinkやSpeakeasyなどごくわずかだが、Wi-Fiの利用に寛大な契約プランを宣伝するという戦略を取る企業も存在する。これらの企業は、無干渉の姿勢を見せることで、加入者たちがサービスにより魅力を感じてくれることを期待している。

 そうなると当然、ブロードバンド企業がより高い利益を上げるためには、Wi-Fiに対して自由な戦略を取るべきか、あるいは慎重な戦略を取るべきかという疑問が湧く。

 この問題は、裁判終了後にさらに興味深いものとなる。これまでもオープンなWi-Fiアクセスポイントは大抵無料で利用できたが、多くの場合、アカウント保有者自身も、その事実を知らなかった。しかし企業家精神溢れる一部の加入者が、帯域幅の積極的な再販にビジネスチャンスの臭いを嗅ぎ取り始めている。

 Time Warnerが威嚇射撃とも思える今回の訴訟を起こす以前にも、このようなアカウントへのアクセス転売の試みは問題を引き起こしてきた。新興企業のJoltageは、一般家庭用ブロードバンドサービスの加入者による帯域幅の転売を支援する、利益率の高いビジネスを立ち上げようとしたが、十分な顧客が集まらず今年始めに倒産した。

 それでも同社の試みを真似をしようと、虎視眈々とチャンスをうかがっている者はまだ大勢いるようだ。そこで、ブロードバンドプロバイダには1つの選択肢がある。それは、帯域幅を再販しようとする新しいタイプの顧客の存在を認識した上で、彼らを受け入れるために、利用規約に利益分配条項などを盛り込むことだ。さもなければ、彼らを提訴してそのような行為を完全に撲滅するしかない。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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