「Ultra Wide Band」(UWB)と呼ばれるワイヤレス技術の規格策定に関して、米Intelと米Texas Instrumentsは各々の提案をひとつにまとめた。
2社とも、かつて自社のUWB標準をIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)に提案する計画だった。しかし、両社が今週明らかにしたところによると、Intelはその後、自社の提案をTIのものと合体させたという。
UWB標準を策定するIEEEの委員会には、現在23件の提案が寄せられている。数カ月のうちに、最終的な決定が下る予定はないものの、同委員会は今週、勝者決定に向けて重要なステップを踏み出すことになっている。最終的に勝ち残った技術には802.15.3aという名称が与えられるが、米Allied Business Intelligenceの試算では、この技術が2007年までに13億9000万ドルもの収益を生み出すという。
UWBの特徴は安さと低消費電力で、もっとも人気の高い「パーソナル・エリア・ネットワーク」技術であるBluetoothよりも、狭い範囲での無線接続を実現するものだ。Bluetoothは、米Microsoftや米Apple Computerのほか、携帯電話メーカー各社やPDAメーカー各社にも受け入れられている。またUWBはBluetooth規格より100倍も高速で、家庭向けエンターテイメント機器の接続に適した技術になるとみられている。
だが、UWB批判者は、未だ商用でテストされてはいない同技術が、 Wi-Fiなど隣接する無線帯域での交信に干渉する可能性もあるとしている。
IntelとTIが歩調をあわせるとのニュースが広まると、いくつかの企業では自社の提案を取り下げ、IntelとTIを支持する側にまわった。TIの事業開発マネージャであるSteve Turnerの話では、チップメーカーの米Broadcomなど完全に競争から撤退した企業もあるという。
「業界がTIの提案をどう受け止めているかを示す、実に良い兆候だと思っている」(Turner)
現在まで競合として残っている企業には、自社のUWB規格に関する提案を売り込んでいるベンチャー企業米XtremeSpectrumなどがある。米Motorolaの支援を受けているXtremeSpectrumは、UWBチップを初めてメーカーに出荷した企業だ。
XtremeSpectrumのバイスプレジデント、Chris Fisher氏は、IntelとTIの提案について、「大企業が必ずしも最先端のものを開発しているというわけではない」とコメント。「IntelとTIは、規格策定プロセスにおいて最終的には生き残れないのではないかと、そのことに恐れており、ゆえに更に力を得る必要があるというのが、われわれの認識だ」(Fisher)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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