IDC Japanは7月12日、国内テープストレージ市場の2009年の実績と2014年までの予測を発表した。これによると、2009年の国内テープストレージ(テープドライブとテープオートメーションの合計)の売上額は、前年比35.9%減の281億1200万円と、大幅な減少となった。
2009年の国内テープストレージ市場では、主にサーバに装着して出荷される単体テープドライブ需要の落ち込みが大きく、売上額は前年比41.2%減の92億6500万円、出荷台数は同40.0%減の5万1664台と、同社が集計を始めた1999年以降で最大の前年比減少率となったという。
多くのドライブタイプにおいて、売上額、出荷台数ともに前年から半減しており、これまで比較的好調だったLTOドライブも前年から約3割需要規模が減少したという。ただし、容量500Gバイト以上のテープドライブは成長を続けており、市場が縮小する中でも大容量ドライブへの需要シフトは継続しているとする。
一方、2009年の国内テープオートメーション売上額は前年比32.9%減の188億4700万円、出荷台数は同30.0%減の1万2190台と、やはり大幅に落ち込んだ。LTO以外のオートメーションタイプでは前年から市場規模が半減し、LTOも初めて売上額、出荷台数共に前年から2ケタ減少となった。下半期には、LTOオートローダーなどの小型製品を中心に出荷の回復傾向が見られ始めたが、平均価格の低下により売上額への貢献は少なくなっているという。
IDCでは、2009〜2014年の国内テープストレージ売上額の年間平均成長率をマイナス6.0%と予測。2010年は引き続き前年実績を下回る見込みだが、2011年には、サーバ更新需要の回復や、IT投資の回復からバックアップシステム更新、刷新に対する投資意欲が再び高まると考えられ、テープストレージ売上額もわずかながら前年比プラス成長すると予測している。しかし、2008年後半から2010年における国内テープストレージ需要の落ち込み分のすべてが、2011年以降に戻ることはないとIDCではみている。ディスクベースのバックアップを導入する企業が今後も増加する見込みであり、テープストレージの市場機会は以前に比べ減少するとみている。
IDC Japan、ストレージシステムズマーケットアナリストの高松亜由智氏は「国内テープストレージサプライヤーにとっては、更新需要を確実に獲得することが最大の課題。DtoDtoTソリューションの積極的な提案はもちろん、テープカートリッジ管理の改善策の提案や新たな利用方法の提案など、一歩踏み込んだ提案を行うことも、テープの更新率の改善やテープレス運用への切り替えを最小限にするために重要である。また、今後も成長が見込まれるバックアップ統合や長期データ保護分野に向けたソリューション展開を行うことで、新規需要の獲得による売り上げの底上げを図るべきである」とコメントしている。
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