誕生から10年、ブログは何を生みだしたのか--「ブロガーサミット2013」で識者が語る - (page 2)

岩本有平 (編集部)2013年08月24日 18時30分

「ステマ」はなぜ生まれたのか

 さらにいちる氏は、佐々木氏の挙げたステマの話題に言及する。「いい意味でも悪い意味でも、有名なブログが出てきてSEOも出てきて、『ネットに書いてもらうのが商品の宣伝になる』となり、ブログを書く人も『小遣い稼ぎになる』と色めき立った。『ネットは小遣い稼ぎになる』という思いの間隙を突かれてステマが出てきたと思う」(いちる氏)

 ではそんなネガティブな事象をも生んだブログはどうして生き残ったのか?佐々木氏は事業者として「僕らが頑張ったからじゃないですか」と冗談交じりに語りつつも、「2007~2009年にかけて、『(ブログは)終わった』と言われていたが、事業者は数字が伸びていたことを分かっていた」と振り返る。また、Googleの検索ランキングに2chまとめブログである「痛いニュース」がランクインするようになり、ブログの認知についても変化が起きたことを感じたという。Otsune氏は、たとえばブログ間で中傷合戦になっても、「同じヤフーブログ同士でひどすぎます」といった表現になると指摘。すでにブログプラットフォームが1つのコミュニティになっているとした。

 その後メディアとブログの違いなどに話が及んだあと、中山氏はこの10年でブログが社会に大きなインパクトを与えた出来事を聞いた。いちる氏は社会派ブログの先がけとも言える「きっこのブログ」を挙げ、岡田氏は「友人がブログを始めたこと」を挙げた。

 またOtsune氏は、ブログを書く行為の評価が変わったと分析する。「10年前は、ネットにブログを書くのは『オタクっぽくて気持ち悪い』という感覚。またプロ(のライターや記者)はお金をもらって文章を書くので、暇つぶしをするなと言っていた」(Otsune氏)

 ここで佐々木氏が再び「ステマ」を挙げ、全員がこれをテーマに語り始めた。佐々木氏はステマという言葉が使われ続けた結果、「好きなアニメを紹介するだけでも(ステマでアニメを紹介しているのではないかと指摘を受ける可能性があるため、冗談として)『ステマですいません』と言わないといけなくなったことは象徴的」(佐々木氏)であり、「(告知が)ステルスではなくても『ステマ』と言われる」(いちる氏)。

 岡田氏は、中山氏に求められて記事と記事広告の違いについて「良心的な媒体は広告であればその旨を明記する」と説明し、一方では広告でもコンテンツとしてユーザーが楽しめるようなものが登場していると指摘する。いちる氏はギズモードで記事広告作る際、「通常の3倍気合い入れておもしろく書く」ということを実践していたと説明。コンテンツとして面白ければ、たとえ「PR」と付けても通常の記事とアクセスで差がなかったとした。

 そんな一方でOtsune氏は、Google Adsenseの規約に反対するブロガーがいない点を指摘する。公序良俗に反するようなコンテンツが掲載されている場合、Google Adsenseを利用することができない。そのため、収益源が減ると考えたブロガーはそういった“きわどいネタ”を書くことが少なくなっているそうだ。これに対して佐々木氏は、Google Adsenseに変わるアドネットワークを利用することで、「ネタ的にきわどいキーワードを使っているブロガーもいる。3年前よりは多様性が出てきている」(佐々木氏)とした。

 その後アフィリエイトに関する話などがなされたのち、最後に中山氏はブログの今後10年について佐々木氏に聞いた。佐々木氏は「ブロガーとして言うなら、今スマホでしかブログを書かない。2年前まではそんなわけはないと思っていたこと。そういうように、ツールの変化を楽しみにしている」(佐々木氏)と語り、セッションを終了した。

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