既報の通り、ソフトバンクとイー・アクセスは10月1日夕方に共同で記者会見し、経営を統合すると発表した。
ソフトバンクの孫正義氏は「今日の午後、正式に経営統合しましょうと取締役会で決めて2人で合意した。基本合意ということではなく、株式交換比率など細部も含めてすべて決めた」とし、年内にイー・モバイルをソフトバンクの完全子会社にすることを目指す。両社を合わせた契約数は8月末で3911万人と、KDDI(au)の3589万人を抜いて業界第2位になるという。
株式交換で経営を統合し、イー・アクセスの株主にソフトバンクの株式を交付する。交換比率は、イー・アクセス株式の評価額を1株5万2000円とし、ソフトバンク株式の3カ月間の平均終値である1株3108円で割った16.74となる。そして、イー・アクセスは2013年2月25日に上場廃止になる予定だ。
会見にはソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏ならびに、イー・アクセス代表取締役会長の千本倖生氏が登壇した。
会見の冒頭では、孫氏がADSL市場にベンチャースピリットをもって参入した頃を振り返ったのち、2005年にソフトバンク(当時のBBモバイル)とイー・アクセスが携帯電話事業の認可を同じ日に得たこと、2007年に2.5GHz帯の免許取得のためにジョイントベンチャーを立ち上げたこと、2009年にモバイルデータ通信で協業したことなどに触れ、イー・アクセスについて「同じタイミングで生まれ、市場では激しく競争をしながらも、協調も行ってきた。そして志を共有し、情報革命に携わってきた」と、競争と協調を続けてきた存在であることを説明。
とはいえ、競争相手である以上、疑心暗鬼な緊張関係も常に残っていたが、単なる業務提携にとどまらない形での協調関係であるために、同日の午後に経営統合することを決定した。すでに最終契約書の調印まで進んでいるという。
孫氏はLTEに関してはすでに3~4年程度前から準備を進め、iPhone 5の発売にあわせて施策を発表していくなか、1.7GHzのLTEを使えるようになると大きなメリットになると思い、一緒のグループとしてイー・アクセスと組んでやっていきたいという思いが強くなっていったという。このタイミングでの経営統合は、「LTEがこれから大きく花咲くタイミングであったから」(孫氏)。また単なる業務提携にしなかったのは、より深いネットワークの統合をしていかないと、本当の意味でのユーザーに快適なネットワークサービスを提供できないとし、信頼関係が経営の根っこにまで入らないと難しいと、経営統合の必要性を語った。
千本氏も議論を深めるなか、企業としてのスピード感がお互いにあっている点が大きかったことや、LTEがこれから巨大なマーケットになっていくなか、イー・アクセスが持つLTEネットワークが、ソフトバンクが今要求しているiPhone 5やテザリングに対してフィットしているとし、全体のシナジー効果が最大値で提供できる組み合わせだと判断して経営統合を決定したという。
iPhone 5が、この統合に大きな影響を与えたことについては孫氏も認め、前々から経営の関係も深めていきたい考えは持っていたが、経営統合の提案をするという腹をくくったのは、テザリングについて「やりましょう」と発言した瞬間だと明かした。「前日に検討しますと答えて、翌日にはやりましょうとして記者会見をしたが、このときにイー・アクセスと経営統合して、テザリングを実施しても構造的に成り立つネットワークを作らないといけない。やる気だけでネットワークを倒すわけにはいかないので。それが背景にある」(孫氏)とし、iPhone 5とテザリング問題が大きな引き金になったことを語った。またネットワークの維持のためにテザリング問題が後手にまわったことを認めながらも「今回の合意で、より良いサービスの提供と、積極的なソフトバンクとしていろんな施策を打ち出していきたい」と語った。
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