ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏は、8月3日に開催された決算会見で、同社が身売りを検討しているという一部報道に対して、「そのような事実は一切ない」と否定。一方で、「各社と事業提携することは日常的に行っている。将来的にその中から資本の話が出ることが、もしかしたらあるかもしれない」とも語った。
ミクシィの2012年度第1四半期(2012年4~6月期)の業績は、売上高が前年同期比18.5%増の35億3900万円、営業利益が同162.5%増の8億8900万円、経常利益が同212.2%増の8億7100万円、純利益が同282.4%増の5億6200万円で、増収増益となった。
ゲームを中心としたアプリ課金売上が堅調に推移したことで増収となった。広告売上は、スマートフォン広告が順調に拡大したものの、フィーチャーフォン広告の売上が減少している。「mixiゲーム」についてはスマートフォン向けのタイトルが増加。課金UUも増加した。
月間ログインユーザー(MAU)は、2012年1月は1538万人だったのに対し、6月は1453万人と85万人減少している。一方、スマートフォンユーザーMAUは、2012年1月は619万人だったのに対し、6月は788万人と169万人増加しており、2007~2008年のフィーチャーフォンの拡大ペースを上回っている。
今後の事業拡大に向けた取り組みとしては、大きく「ユーザー基盤」と「ビジネス基盤」の2つを強化していく。
ユーザー基盤については、ユーザーインタビューやABテスト、アンケートなどを通じて、これまで以上にユーザーの声を取り入れる仕組みを整備する。また、SNS「mixi」の各機能ごとに少人数のユニットを設けることで、スピーディな開発体制を構築するとしている。
ビジネス基盤については、スマートフォン向けの広告商品開発を強化する。7月18日からソニーマーケティングと展開したリッチ広告「ソーシャルエキスパンド」は、開始から24時間で100万ユーザーが参加するなど好調だったという。
笠原氏は、「ポイントとしては2点ある。1点目はページビューに依存しない広告商品であること。ソーシャルグラフをうまく活かしてバイラルで参加者を広げていった。2点目は、通常のバナー広告で開始した事例だったこと。単発のキャンペーンとして、アイデア勝負で行ったものではなく、量産しやすい広告商品だった」とコメント。今後のスマートフォンにおける広告売上についても手応えを掴みつつあるとした。
さらに、「mixi」事業が引き続き同社の中核であると前置きしたうえで、8月から新規事業の創出を目的とした部署を開設すると説明。「こういった取り組みを併せ持つことで、より迅速に新しいチャンスにも積極的に挑んでいける体制にしていきたい」と語った。
ところで、NHN Japanは7月3日に、無料通話アプリ「LINE」のプラットフォーム化を発表している。今後は、mixiの競合に当たるのではないかという質問に対して笠原氏は、「いまのところLINEに関しては、携帯メールやメッセンジャーに近い存在と考えており、むしろキャリアのメールサービスとかぶっているように見ている。今後に関しては、実際のサービスを触っているわけではないので、私からは何とも言いかねる」とコメントした。
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