一般用医薬品のネット販売規制の無効などを求めたケンコーコムとウェルネットの行政訴訟。一審では原告敗訴となったが、控訴審で東京高等裁判所(東京高裁)は4月26日、一審の判決を一部取り消し、一般用医薬品のインターネット販売を含む郵便等販売を認める逆転判決を下した。
国側(厚生労働省)が上告期限である5月10日までにどのような対応を行うかに注目が集まっていたが、厚労省は5月9日、「省令で定めるネット販売規制は法律に基づくもので、判決は受け入れ難い」として最高裁判所に上告した。
この一方で、上告とほぼ同時刻となる5月9日16時に、蓮舫議員や田村謙治議員ら62名の民主党議員からなる「一般用医薬品の通信販売解禁を推進する議員連盟」は、緊急の会見を実施した。
会見では、議連が2つの要請書を出したことが明らかにされた。1つは、野田佳彦内閣総理大臣、小宮山洋子厚生労働大臣、岡田克也内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)、古川元久国家戦略担当大臣にあてたもの。控訴審の判決を受けて(1)上告を断念すること(2)通信販売を原則禁止する規制を撤廃すること――の2点を求めている。
そしてもう1つは、特定非営利活動法人日本オンラインドラッグ協会、公益社団法人日本通信販売協会、一般社団法人eビジネス推進連合会、一般社団法人日本漢方連盟、全国伝統薬連絡協議会のそれぞれ会長、理事長らにあてたもので、事業者による一般用医薬品の通信販売における安全確保のための措置の実施を求めている。
会見では、行政刷新担当大臣(当時)として「規制仕分け」を担当し、一般用医薬品のネット販売規制について不当性を指摘した蓮舫議員は、「高裁の判決を受けて、関係団体にネット、通信販売等の解禁を1日も早く要請することにした。省令での販売制限は違法であり無効と判決が下された。この内容は極めて重いと考えている」とコメント。利便性と安全性の両面を考えることは重要だとした上で「規制仕分けでも厚労省には『合理的な理由となる情報を集めて規制を、ある意味緩和してください』と要請している。こうした要請も含めて、厚労省には積極的な行動を期待している」と語った。
厚労省の上告は、この会見とほぼ同時刻に報道機関に知らされた。厚労省の上告について蓮舫議員は「厚生労働大臣も会見で慎重な言い回しをしていた。国としては安全性を担保しなければいけない姿勢の一環と思うが、利便性と安全性の議論は“しつくされた感”がある。 であればもう少し丁寧に、どうすれば規制を緩和、強化していけるのかということを再度(検討を)お願いしたい」と語り、議連からの要請がありながら厚労省が上告したことについては「その判断は受け入れるが、引き続き我々はどういう形でネット解禁できるのかを追い続ける」とした。
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