野村総合研究所とグーグルは10月19日、「インターネットの日本経済への貢献」についての共同研究結果を発表した。共同研究では、日本のGDPや地域経済に対するネットの影響を数値的に分析している。主な調査結果は以下のとおり。
同日開催された記者会見には、グーグル代表取締役の有馬誠氏が出席。世界の約18億人がパソコンから、約46億人が携帯端末から、ネットを通じて動画を視聴したり、ECサイトを利用したりしていると話し、「経済や社会に大きく貢献していることは疑う余地がない」と語る。しかし、過去にはネットが与える経済効果を裏付ける具体的なデータが少なかったことから、NRIと共同研究を実施したと説明した。
また、今回発表されたデータについては「結論から申しますと我々の想定通り。特に日本の中小企業のビジネス躍進において非常に大きな貢献がある」とコメント。ネットを活用することで海外へも販路を拡大できると話し、「インターネット産業こそが日本経済を今後押し上げていく。再度成長路線に乗せる大きな原動力になってほしい」と語った。
続いて、野村総合研究所常務執行役員の此本臣吾氏が登壇。NRIでは、生活者の価値観や消費行動の実態を調べるため、定期的に日本人1万人へのアンケート調査を実施しているが、直近の2009年度の調査ではこれまでにない特徴があったと話す。
此本氏によれば、日本の生活者の約9割がアンケートで自分の生活程度は「中流」だと回答するという。さらに細分化した回答では平均して7~8%が「中の上」と回答していたが、2009年度の調査ではこの比率が14%まで増加した。一方で、回答者の大半が収入は減少しているという。
この結果について此本氏は「ITの利活用によって収入は減ったが、生活の質はかえって向上していると感じている人が増えている」と話す。また、考えられる理由として、海外の商品を日本で取り寄せたり、購入前の価格比較をしたりすることが容易になったことを挙げ、ネットが普及したことによって「消費行動がスマート化してきている」と分析。これらの結果を踏まえて共同研究の実施に至ったと背景を語った。
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