UPDATE Googleは米国時間4月25日、「WebM Community Cross License」イニシアチブというプログラムを発表した。無償で利用可能なウェブ用ビデオ技術にのしかかる特許関連の脅威を取り除くことを目的とする。
このプログラムに参加する企業は、「WebM」関連の任意の特許を互いにライセンスすることで合意する。同技術が実際にロイヤルティフリーであり、またGoogleもそれを強く希望していることを相互に再確認するための動きである。
GoogleのWebM担当製品管理ディレクターを務めるMike Jazayeri氏は、「参加企業は、WebMにとって重要だと思われる任意の特許に対する特許ライセンスを他の参加企業に提供する」と述べた。
Googleはこれまでに、16の組織と同プログラムに関する契約を交わしている。その中には、ブラウザメーカーであるMozillaやOpera Softwareなど、参加が自明な組織もある一方で、サムスンやLG Electronicsなど、WebMと競合する最大のビデオエンコーディング技術である「H.264」と関連するため、商業的利益を生み出すことができるとみなされるビデオ関連特許を保有する企業もある。
このプログラムは、WebMの特許の正当性に対してMPEG LAが指摘している懸念を払しょくすることを目的としている。MPEG LAは、H.264の特許プールをライセンスしており、オーディオコーデック「Vorbis」とともにWebMの中核をなすビデオエンコーディング技術「VP8」に関しても同様のプールを構築することを検討中である。MPEG LAは、VP8が他の特許を侵害していると思うと述べているが、詳細については何も明らかにしていない。
Googleは、WebM Community Cross License(CCL)と、自社によるWebMの使用によって、懸念が緩和されることを期待している。
Jazayeri氏は、同社のビデオサイトYouTubeやブラウザ「Google Chrome」を挙げて、「われわれは、自社の製品やサービスでこれを使用することに何の不安も感じていない」と述べた。WebMの使用を検討する組織に対し、「CCLによって透明性と安心感を与えられると期待している」(Jazayeri氏)
MPEG LAがVP8の特許プールを提供することになった場合、VP8の使用に興味があるが、特許保有者によって訴訟を起こされるのではないかと懸念する一部の企業には都合がよいかもしれない。しかしそうなれば、特許フリーの技術を構築したいと考えるGoogleの野望は大きくくじかれることになる。例えば、Mozillaの「Firefox」などのオープンソースソフトウェアや、特許問題を回避することを目的とする「HTML5」などの規格にこれを含めることができなくなる可能性がある。
「ウェブが今日のように普遍的なものになったのは、初期の創始者らがウェブの中核技術をオープンにし、無償で利用可能にしたからだとわれわれは強く信じている」とJazayeri氏は述べた。「それは重要なことである」(Jazayeri氏)
しかし、Microsoft、パナソニック、Philips Electronics、シャープ、ソニーなど、重要なビデオ特許を保有する多くの企業が、少なくとも現時点ではまだこのプログラムに参加していない。
Jazayeri氏は、「まだ始まったばかりだ」と述べた。「ウェブのエコシステムの恩恵を受ける組織に参加してもらえるように、積極的に議論しているところだ」(Jazayeri氏)
Googleがどれだけ効果的にMPEG LAに対抗できるかについては、今後の動向を見守る必要がある。Googleは、束縛されないインターネットを目指すという目標を掲げて、参加企業らを先導したいと考えている。
「現時点までの彼らの主張は、ウェブの革新に役立っていないと思うし、そのように懸念するのはわれわれだけではないと思う」とJazayeri氏は述べた。
16のパートナー組織は以下の通り。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス