モバイル業界における大規模な買収が明らかになった。AT&Tは米国時間3月20日、Deutsche Telekom傘下のT-Mobile USAを390億ドルで買収することで合意したと発表した。
この買収が成立すれば、AT&Tは、既存顧客9550万人にさらに3300万人以上の加入者が加わり、総加入者数は1億2900万人を超え、米国のワイヤレス事業者として支配的な地位を確立することになる。加入者数が1億200万人強のVerizon Wirelessは、AT&Tに大きく引き離されて、ワイヤレス事業者第2位に転落することになる。
AT&Tの会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるRandall Stephenson氏は、今回の買収を発表する声明で、「今回の買収は、重要なインフラストラクチャを我が国の将来に向けて強化および拡大するという強い意志を示すものである」と述べた。「これによって、ネットワークの品質が高まり、2億9400万人以上の人々に高度なLTE機能がもたらされるだろう」(Stephenson氏)
今回の買収の条件として、AT&Tは250億ドルを現金で、残りを株式で支払う予定で、Deutsche TelekomはAT&T株式の8%と取締役会の1席を得ることになる。両社の取締役会はすでにこの買収を承認しているが、規制当局の承認はまだ得られておらず、この承認を得るまでには最大1年かかると予測されている。
規制当局の承認には注意を要するかもしれない。米連邦通信委員会(FCC)は2010年5月のレポートにおいて、ワイヤレス業界は集中化が進んでおり、米国の2大ワイヤレス事業者であるAT&TとVerizon Wirelessが、米国内の契約者数と売上高の60%を占めていると警告した。
合併後の契約者数の規模に加えて、この買収が米国の2大GSM事業者の合併でもあり、ワイヤレス規格であるGSMを利用したいと考える顧客に与えられる事業者の選択肢が1社のみになることも、独占禁止を監視する規制当局の懸念材料になる可能性がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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