大日本印刷は1月28日、書籍の背表紙の裏面に装着する書籍専用ICタグを開発したと発表した。また、このICタグをコミックや文庫本の製本加工と同じ速度で装着する技術も開発した。
新たに開発したICタグは、幅10mm、長さ100mm。書店などで書籍を積み上げた際に、ICタグの厚みによって荷崩れなどをしないよう、書籍の背表紙部分にICタグを装着できるようにした。また、細長いICタグを蛇行することなく、所定の位置に正確に装着できるように実装技術を改良し、製本加工と同じく毎時1万2000枚を装着できるようにした。ICタグ1枚あたりの価格は15〜25円という。
2008年の書籍・雑誌を合わせた出版物販売額は前年比3.2%減の2兆177億円と4年連続で前年を下回っている。こうした状況の中で、40%超といわれる新刊本の返本率を改善することが出版業界の経営課題の1つになっている。大日本印刷は書籍にICタグを付けることで書籍1冊単位でのトレーサビリティを可能とし、売れ行きが把握しやすくなるとしている。
実際、2008年から書籍にICタグを取り付ける試みはなされており、責任販売制と委託販売制という2つの書籍販売方法の識別に活用されているとのこと。これにより、同じ書籍でも販売方法ごとに売れ行きや返本率がどう違うかが比較できるようになり、書店側の利益向上や販売部数の増加に結びついているとしている。
また、出版社や取次、書店における在庫管理の効率化や販売動向の把握、万引き防止などへの活用も期待できるとのこと。大日本印刷では2013年度までに書籍専用のICタグで60億円の売り上げを目指している。
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