Forrester Researchは米国時間1月12日、世界のIT支出が、2009年に記録した前年比8.9%減という急激な落ち込みから一転して、2010年には前年比8.1%の伸びを見せて回復する、との予測を調査リポートで明らかにした。
企業および政府機関は、2010年を通じて1兆6000億ドルのIT支出を計上すると、Forresterは予測している。米国内に限っても、2010年のIT支出は前年比6.6%増の5680億ドルになり、2009年に記録した前年比8.2%減からは大きく改善するという。
最大の増加セグメントは、コンピュータハードウェアおよびソフトウェアになると見られている。世界のコンピュータ機器の購入額は前年比8.2%増となり、通信機器のハードウェア購入額も前年比7.6%増を記録するようだ。また、ソフトウェア関連のIT支出も前年比9.7%増と大幅に伸びることになる。
他のセグメントでも回復傾向が強まるだろう。ITコンサルティングおよびシステムインテグレーション事業の提供企業は、同分野でのIT支出が前年比6.8%まで伸びるのを目にすることになり、ITコンサルティングサービス関連のIT支出は前年比7.1%増に達すると予測されている。
Forresterのバイスプレジデント兼主席アナリストであるAndrew Bartels氏は声明を出し、「2008年と2009年に続いたテクノロジ分野の落ち込みは、非公式ながら終了したと言えるだろう。あらゆる分野で2010年のIT支出が回復を見せることを示す条件が整ってきている。米国内においては、全般的な景気回復傾向の中でテクノロジ分野の回復が非常に顕著であり、2010年のGDP成長率の2倍を上回る速度でIT支出は伸びていくだろう」と語った。
世界全体に目を向けてみると、2010年中にIT支出の最も大きな伸びを見せるのは欧州地域になる可能性が高いと、Forresterは明らかにした。ドル安ユーロ高の影響を受けて、米ドルベースでは、西ヨーロッパおよび中央ヨーロッパのIT支出が前年比11.2%増に上昇すると予測されている。
また、カナダのIT支出は前年比9.9%増に、アジア太平洋地域は前年比7.8%増に、ラテンアメリカは7.7%増を記録するとされている。一方、東ヨーロッパ、中東、アフリカにおけるIT支出の伸びは小幅で、前年比2.4%増に止まりそうだ。
さらに、各現地通貨ベースの換算では、米国内のIT支出が全地域で最も大きな成長率を示すことになると、Forresterは述べている。
2010年以降に目を移すと、新たな「スマートコンピューティング」イニシアチブが、今後6〜7年間のIT分野の成長サイクルを支えることになると、Forresterは予測を出した。コンテキストアウェア技術を採用したアプリケーションとビジネス分析技術を統合することで、クラウドコンピューティングを始めとする各プラットフォームは、よりスマートに進化していくことになる。
Bartels氏は「スマートコンピューティングが、サービス指向型アーキテクチャ(SOA)、サーバおよびストレージの仮想化、クラウドコンピューティング、ユニファイドコミュニケーションなどをベースに発展していくだろう。2010年は、この次なるテクノロジの進歩のフェーズの始まりを特徴づける年になる」と語った。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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