ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「mixi」を運営するミクシィが11月5日に発表した2010年3月期第2四半期(7〜9月)連結決算は、営業利益が9億9200万円と前年同期比(ただし、2009年第3四半期より四半期連結財務諸表を作成しているため、増減率は単独決算との比較になる)0.2%増えた。景気低迷の影響はあるものの、営業強化などで広告販売が伸びたほか、mixiアプリの導入による上乗せ効果も若干あった。その一方で、コンテンツ調達費や販売管理費がかさみ、利益が抑制された。
売上高は前年同期比8.5%増の31億8800万円となった。広告収入の基盤となる月間ページビューは9月時点で114億4000万(同17.0%増)となったが、PCだけに限定すると、45億2000万(同9.4%減)となった。アクティブ率(3日以内にサービスを再度利用する割合)が約50%(同4%減)と低下したが、ユーザー数が1792万人(同14.2%増)となり、この数字を補った。なお経常利益は9億4300万円(同5.5%減)、四半期純利益は4億7800万円(同10.2%減)となった。
mixiアプリの効果はすでに出始めている。アプリの画面には、広告収入をミクシィとmixiアプリの提供会社で分け合う「mixiアドプログラム」の広告枠がある。同日開いた決算説明会で、ミクシィ代表取締役社長の笠原健治氏は、「アプリそのものが広告になっているものもある」と説明。すでにアメリカンファミリー生命保険や本田技研工業、日本たばこ産業などのナショナルクライアントの利用実績がある。
2010年3月期通期では、売上高が130億円(前年同期比7.9%増)、営業利益は32億円(同15.1%減)、純利益は17億円(同12.7%減)を見込む。mixiアプリによる上乗せ分は「2〜3億円程度」(笠原氏)という。
今回の説明会は決算説明会というより、mixiアプリの説明会という趣だった。笠原氏は、数字の説明を終えると、mixiアプリを積極的にアピールした。プロジェクターを使い、アプリの中で一番人気の「サンシャイン牧場」を実際に遊んで見せたほか、モバイル版の画面もプロジェクターに映し出し、アナリストらの理解促進に努めていた。
開始2カ月で、ユーザー数が100万人を超えるアプリが複数あり、笠原氏は「順調なスタートだ」と強調。「同じアプリでもミクシィ内で展開したほうがユーザーも集まり、長く使われる可能性が高い」とプラットフォームとしてのmixiの優位性をアピールしていた。11月から、mixiアプリ向け共通課金システム「mixiペイメントAPI(モバイル)」の提供を開始する。一方で、「プラットフォームとしての自由度の高さも維持し、アプリ提供企業を幅広く呼び込む」考え。2010年2月には現在の招待制から登録制に移行するほか、テレビ広告などマスプロモーションも始める。来期以降、mixiアプリが収益に本格的に寄与してきそうだ。
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