MicrosoftとLinux Foundationにも合意点はある。どちらも相手の製品を支持するつもりはないという姿勢だ。いやもちろん、これは冗談だ。
だが、Linux FoundationとMicrosoftは今、米国法律協会(American Law Institute:ALI)によるある提案に共同で反対を表明している。提案とは、ソフトウェア製品に材料欠陥のない状態で出荷されているという黙示的な保証を求めるものだ。
Linux FoundationとMicrosoftは米国時間5月14日、この提案に反論する書簡を共同でALIに送付した。両者とも、この提案は有害無益なものになりかねないと考えている。
「今回の原則はALIの多大な努力と熟慮の末のものなのだろうが、一部の条項が現行法にのっとっていない上、うまく機能している企業向けおよび一般消費者向けソフトウェア市場を混乱させ、ソフトウェア開発者にとって不確実な状況を作り出す可能性があると、MicrosoftおよびLinux Foundationは考える」と、Microsoftで副法律顧問を務めるHoracio Gutierrez氏はブログで述べている。
ZDNetのMary Jo Foley記者によれば、ALIは、18日から20日にかけて開催の会合でこの問題について取り上げるという。
今回の提案に反対しているのは、MicrosoftとLinux Foundationだけではない。Foley記者も指摘しているが、ヒューストン大学教授Raymond Nimmer氏もALIの提案に対して強烈な批判を展開している。
Linux Foundationを率いるJim Zemlin氏は、Microsoftとの協力が奇妙に映ることは認めながらも、提案されている法原則ではオープンソースにも商用ソフトウェアにも害を与えることになるとブログで述べている。
「ALIが示した提案の概要に従って黙示的な保証をつけるなら、オープンソースライセンスも商用ライセンスもともに、自然な運用が妨げられる。これでは不必要な訴訟が限りなく起きる可能性があり、テクノロジの共有を困難にするだろう」とZemlin氏は記している。
Gutierrez氏はまた、今回の取り組みにおいて、Microsoftと同社のパートナー企業がすべての点で意見を一致させる必要はないと述べている。
Gutierrez氏は、「Linux FoundationとMicrosoftが手を組んでいるというだけで、注目すべきだと一部の人たちは考えるかもしれない。両者の利益が一致する場合よりも、異なる場合の方がはるかに世間の注目を集めるからだ」と記し、さらに「われわれの業界には多様な意見があり、議論になることも多いが、われわれを団結させるものがあるとすれば、それはわれわれ全員がソフトウェアの力を信じていることにほかならない」と続けた。
Gutierrez氏はまた、ある種和解の手ともいえるものを差し出している。「今回のことが1つのきっかけとなって、今後Linux Foundationや他の団体と協力し合う機会が数多く生まれることになるように期待している。われわれにはともにできることがもっとたくさんある」とGutierrez氏は述べている。
今回の共同書簡のほんの数カ月前、Microsoftは、Linuxカーネルの実装について、初めて1企業を提訴した。最終的には、Microsoftは相手企業のTomTomと和解したが、この動きは、Microsoftの特許へのライセンス契約を拒否するLinuxベンダーに対して、Microsoftが法的措置を取る意向ではないかとする不安を増幅させている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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