Appleの株価は、同社最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏が、健康上の問題から6月末までCEO職を退くとの知らせを受けて、多くの投資家が懸念を表明し、米国時間1月15日の取り引きは、前日終値比で5.7%下落して幕を開けた。
15日のAppleの株価は、14日終値の1株当たり85.33ドルから下落し、午前の取り引きは1株当たり80.50ドルで寄り付いた。
多くのウォール街のアナリストが、Jobs氏の長い休暇期間中も、Appleは引き続き好調を維持できるはずだとの予測を出してはいるものの、一般の投資家は、もしもJobs氏の復帰が、当初の6月末以降にずれ込むことになれば、現在のAppleの掲げるビジョンや、同社の勢いにも陰りが見えてくるのではないかとの懸念を抱くようになっている。
Jobs氏は在任期間中に、Appleが進出していく市場や、iPhoneを始めとする、新市場への投入製品のタイプなどに関し、明快な権限でもって、その方向性を打ち出してきた。既成概念やアイデアの均質化を打ち破ってきたJobs氏の路線が、同氏の不在期間中に打ち捨てられてしまうのかどうかも、現時点では定かではない。
Collins StewartのアナリストであるAshok Kumar氏は「Appleの指揮統制系統は、これまでAppleにとって良好に機能してきた」との分析を発表した。
また、Kumar氏は、Jobs氏の後継者として、独りでも十分に役割を担えそうなエグゼクティブはいないものの、今後もAppleは「組織的な才能」を発揮するアプローチで、成長を維持していくことが可能だと考えていることを明らかにしている。
しかしながら、こうした見方に懐疑的で、健康問題を理由にしたJobs氏の離職や、景気後退がAppleの製品に及ぼす影響などを懸念して、Appleの株価への評価を「売り」に格下げしたアナリストもいる。
15日にリリースされた調査報告に、RBC Capital MarketsのアナリストであるMichael Abramsky氏は、次のように記している。
CEOであるJobs氏の予想外の不在は、リーダーシップに関わる目下の不確実性という問題を提起するものとなる。Jobs氏は、Appleの革新、交渉、指導という分野で、中核となってきた人物であり、非常に細かい案件にまでも深く関わって、Appleのブランドと緊密に結びついてきたことで、幅広く知られている。Jobs氏が、6カ月以上もの長い期間、Appleを不在にし、明確に後継者を定めることもなく毎日が過ぎていくのは、Appleが、今後も目ざましい革新的な業績を伸ばし続けることができるのかどうかに関して、不安をあおる大きな要因となっている。
さらに、Abramsky氏は、今後3カ月の間も、家電製品およびApple関連の製品サービスの分野で、一層の消費の落ち込みが予想されると報告に記し、注意を喚起している。
1月に実施されたRBC IQ/Changewaveの調査結果によると、今後90日以内にMacのノートブックを購入する予定であるとの回答者は28%にとどまり、同じ調査で、11月に33%の回答者が購入の意向を示した時と対照的な結果になった。
一方、Pacific Crest SecuritiesのアナリストであるAndy Hargreaves氏は、Appleの将来の革新は、人気の高いiPhoneという技術プラットフォームの利用に努力を傾けることで導き出されると確信していることを明示した。
Hargreaves氏は「iPhoneによって、Appleはパラダイムシフトの創造に成功したと考えている」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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